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654. 研究の新たな方向性とやるべきこと


昨日は、午前中と夕方が同質の闇と静けさを持っていた。二つの鬱蒼とした雰囲気に挟まれていたのが、昨日のフローニンゲンの街であったと言っていいだろう。

ただし、昼前から午後にかけては太陽が差し込んでいた。そのため、私は気分転換に近くのサイクリングロードにランニングに出かけていた。

ランニングから戻り、午後の仕事をひと段落したところで浴槽に浸かった。すると突然、自分の研究に関して新しい考えが閃いた。それは一週間ほど前に、名古屋から静岡を通過しているあたりの新幹線の中でふと考えていたシンクロナイゼーションという現象に関するものである。

浴槽の中で閃いたのは、どうやら教師と学習者が教室空間で見せる振る舞いには何かしらのシンクロナイゼーションが起こっているのではないか、というものであった。シンクロナイゼーションという現象を分析する非線形ダイナミクスの手法を、偶然にも先日のクラスで学習していたため、簡便的に研究データに対してその手法を適用してみた。

このデータは、教師と学習者の振る舞いを7×8のマトリクスに分類したものであるが、それらの振る舞いを再度時系列データに変換して分析手法を適用してみたのだ。するとやはり、教師と学習者間にはシンクロナイゼーションらしき現象が起こっていることがわかった。

そこからさらに個別の学習者に着目し、教師とのシンクロナイゼーションの度合いについて分析を行い、シンクロナイゼーションの度合いの高い学習者の特徴は何であり、逆に、シンクロナイゼーションの度合いが低い学習者の特徴は何かを突き止めたいと思った。

具体的には、カート・フィッシャーのスキルレベルで分析した学習の成長率と学習者のシンクロナイゼーションの度合いがどのような関係になっているのかを調査してみたい。ただし、そうした調査をする前に、昨日も少しばかり難航していたのは、フィッシャーのスキルレベルを用いた分析であった。

今回は成人のオンライン学習をテーマにしており、クラスルーム内での発話を全て定量化する際に、フィッシャーのスキル分析を適用している。実際に、合計で500個近い発話データの一つ一つにフィッシャーのスキルレベルを適用しているのだ。

これまで長らく発話の構造を分析する発達測定に携わってきたが、フィッシャーのスキル分析をこれほどの量に対して適用することは初めてであり、これまではケーススタディに対する記述された回答へスキル分析を適用してきたという都合上、発話に対してスキル分析を適用するのは初めての試みだと言っていい。

現在、測定者間信頼性(inter-rater reliability)を確保するために、しっかりとした分析マニュアル(コーディングシステム)を構築している最中なのだが、それをどこまで精緻に作成したとしても、発話の構造分析は構造的発達心理学の枠組みに習熟していないと非常に難解であるため、結局のところ、他の測定者に対して私がガイダンスやトレーニングを提供することになりそうである。

測定者間信頼性を確保するために、何人の測定者で研究データを分析するのかまだ定かではないが、仮に私の論文アドバイザーであるクネン先生が担当してくださるのであれば、彼女に対するガイダンスやトレーニングはそれほど難しくないかもしれない。

なぜならクネン先生は、フィッシャーのみならず、ロバート・キーガンの理論を含めた構造的発達心理学の枠組みに習熟しているからである。今日からより焦点を定めていかなければならないのは、分析の基準だろう。

明瞭な分析基準を設定し、他の測定者がそれほど頭を悩ますことなく分析に従事できるようにしていく必要があるだろう。ここさえ突破できれば、定量化されたデータに対して、非線形ダイナミクスの諸々の手法をいかようにも活用できる。これは非常に楽しみだ。2017/1/14

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