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653. 基意志と離意志


今日は、朝から激しいみぞれが地面に打ち付けていた。そして、ある時を境にして、みぞれから雪に変わり、書斎から見える景色が瞬く間に白銀世界に変貌した。

一向に止むことのない雪により、白銀世界がより一層白味を増していく。今の時刻は朝の九時半にもかかわらず、辺りは夜に向かう雰囲気を醸し出している。これが北欧に近いオランダの冬の姿なのだろう。

外の雪景色を眺めながら、ふと昨夜の夢の内容が思い出された。その夢の核をなす伝言は、「できるだけゆっくりと自分の内側に知識と経験の広いネットワークと高い体系を構築せよ」というものであった。

人間の発達に関する研究や実務に携わってしばらくの時間が経ったが、私たちはつくづくゆっくりとしか成長しない生き物なのだと思わされる。成長の瞬間は確かに突発的である。しかし、そうした突発的な成長に至るためには、長大な時間を重ねる中で多くのことを積み重ねていくことが何よりも重要なのである。

束の間の超越体験や刹那的な変容体験を求めてはならない。それらの体験は、瞬間的な高揚感をもたらし得るが、永続性はなく、それらが真の自己変容につながることはほとんどない。

ダイナミックシステム理論に真剣に取り組むことによって、成長や発達の要諦は、つくづく日々の規律さと勤勉さにあるような気がしている。私たちの知性や能力は、動的なシステムと見立てることが可能であり、そうしたシステムが発達するためには、目には見えないところで確かに進行している変化の積み重ねが何よりも大事なのだ。

日々の一つの行動や学習は、それ自体は何の変哲も無いものかもしれない。しかしながら、それらを積み重ねていく過程の中で、システムに「強化型フィードバック(ポジティブフィードバック)」が生み出される。

強化型フィードバックとは、ひとたび形となった小さな雪だるまが斜面を転がる中で爆発的にその大きさを増していく「スノーボール効果」と同義である。自己の内側で知識や技術の体系を形作るためには、何も目新しいことをする必要はない。

必要なのは、何の変哲も無い日々の実践を思慮を持って愚直に継続させていくことだろう。私たちが規律さと勤勉さを持って何かに取り組むとき、必ずや自分の内側に大きな雪崩のような現象が起こる。

それは何かが崩れ去ることを示すものではなく、全く逆に、巨大な雪の塊が形成されていく姿を示している。そのようなことを考えていると、いつの間にやら、雪が止み、空から太陽が現れ始めた。

太陽の手招きに応じて、私は自宅を後にし、ランニングに出かけることにした。先ほど降り積もっていた雪を踏みしめながら、私は一つの方向へ走り始めた。

自覚的に走ることを決意し、無自覚的に走ること。確固たる意志に基づいた一歩一歩の足取りが、意志を超えた形でいつか巨大な総体を生み出すのである。

意志を用いて動きを始動させ、意志を手放して動きを推進させること。それは私にとって、規律さや勤勉さと同じように大切なことのように思われた。2017/1/13

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