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648. 非線形ダイナミクスの興味深い研究手法


いよいよ今日から2017年の学期が始まった。今日はフローニンゲンに戻ってきて初めてのクラスがあった。具体的には、「複雑性と人間発達」というコースの第六回目のクラスである。

早いもので、全七回のクラスのうち、今日のクラスを除けば残すところあと一回のクラスとなる。自宅を出発し、講義が行われる社会科学のキャンパスまで歩いている最中、常に私は意気揚々としていた。

おそらくこれは、新年を迎え、気持ちが新たなものになっていたからかもしれない。また、日本に一時帰国した際に、色々と思うことや掴んだことがあったためかもしれない。

いずれにせよ、自分の探究と仕事に専念できる素晴らしい環境の中に再び戻って来れたことが、何にも増して嬉しかったのだ。このような内側からほとばしる歓びを噛み締めながら、ノーダープラントソン公園を横切り、キャンパスに着いた。

本来であれば、今日は「リサンプリング」という手法を習う予定であったが、コースの内容が入れ替わり、三人の博士課程の者たちの研究発表を聞いた。その中でも、ダイナミックシステムアプローチを発達研究に本格的に導入したポール・ヴァン・ギアートをアドバイザーに持つ一人の博士課程の研究者の発表が印象に残っている。

彼女の研究は、子供たちのジェスチャーと発話の発達レベルの関係性を調査するものである。彼女は、カート・フィッシャーのスキル尺度をもとに、ジェスチャーと発話のレベルを評価し、それらのミスマッチやシンクロナイゼーションが起こる要因を特定しようとしていた。

私もフィッシャーのスキル尺度を用いる研究をしているということや、シンクロナイゼーションという現象に着目をしているため、彼女の発表を終始興味深く聞いていた。さらに、彼女は「交差再帰定量化解析(Cross Recurrence Quantification Analysis)」という非線形ダイナミクスの一つの研究手法を用いており、その活用可能性について垣間見ることができた。

そしてもう一人印象に残っているのは、最後の発表者である。特に私の関心を引いたのは、彼が研究の中で扱っていた非線形ダイナミクスの手法であった。

それは以前紹介した「ターケンスの埋め込み定理」と関連するアプローチであり、「SMAP」と呼ばれるものである——残念ながら日本語訳はわからない。彼がイメージ図を用いながらビジュアルに訴えかける説明をしてくれたおかげで、何をやっているかのイメージを掴むことができた。

その背景にある数学的考え方は不明であるが、このアプローチが非常に面白いものであり、将来の自分の研究に役立つものであることが直感的にわかった。記憶に残っている情報をもとに、どのようなアプローチだったのかを書き留めておきたい。

一つの時系列データを行列に変換し、それを状態空間の中にベクトルの形でプロットしていたのを記憶している。そこから「bundle embeddings」という考え方を用いて、一つのベクトルを二つのベクトルに分割し、両者の挙動を分析するものだったと思う。

記憶に残っているのは、こうした抽象的なイメージと研究手法の名前だけだが、発表を担当したバートに参考論文をいくつか紹介してもらった。後日、この研修手法の背後にある考え方と活用方法について自主的に理解を深めていきたいと思った。

今日のクラスの最後に、私の論文アドバイザーでもあり、コースを担当しているサスキア・クネン先生から、「非線形ダイナミクスの研究手法は、ほぼ毎年新たな手法が生み出されているが、今回のコースで取り扱った種々の研究手法に習熟すれば、それらの新しい研究手法を比較的容易に理解することができる」というコメントがあった。

実際に、このコースのおかげで、非線形ダイナミクスの様々な研究手法に触れることができ、それらはどれも私の関心を大いに引くものであった。それらの研究手法は、知性や能力の発達を研究する上で非常に有益なものなのだ。

クネン先生の言葉にあるように、非線形ダイナミクスの研究は日進月歩で進んでおり、この研究領域に身を置くことは大変面白い。数学的な素養をさらに高める努力を怠らず、非線形ダイナミクスの考え方や研究手法の理解を深め、今後の自分の研究に是非とも応用していきたいと思う。2017/1/12

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