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636. ノルウェーの森


あれは昨年の夏のことだった。私は渡欧の前日、成田空港近くのホテル日航成田に宿泊していた。

ロビーのあるフロアには、一つのカフェがある。そこで軽い夕食を注文し、食べ物を待っている時、一つの雑誌に目が止まった。それは旅行詩であり、ノルウェーを特集したものだった。

ページをめくっていると、夏のノルウェーに生い茂る生命力あふれる木々にぐいぐいと引き込まれていった。なんとも言えない魅せられるものがそこにあったのだ。

夏のフィヨルドの壮麗さに想いを馳せながら、渓谷を走る列車の窓から見えるノルウェーの森になんとも言えぬ憧憬の念を持った。同時に、「自分はノルウェーに行く必要がある」という直感めいた言葉が舞い降りてきたのだった。

その言葉に後押しされる形で、私はこの雑誌を真剣に眺めていた。北欧の夏はさぞかし清々しいのだろうという思いや、冬の北欧も静穏な情緒で満たされているに違いないという思いが湧き上がっていた。

特に、オーロラという神秘さを醸し出す自然美に対して、愛着にも似た感情を覚えていた。ノルウェーにはきっと何かがあるに違いない。今でもそのようなことを思う。

そうした思いをさらに強めたのは、今年の日本滞在の最終日に受けたエネルギーワークのセッションから得られた洞察であった。ロサルゼルスから東京に生活拠点を移した昨年の一年間、私の変容を支えてくれたセラピストを訪れ、オランダに戻る前にどうしてもその方のセッションを受けたくなった。

そして幸運にも、昨日にその方のセッションを受けることができたのだ。昨日のセッションから得られた洞察の一つが、欧州の土着の神々、その中でも森を司る神に自分は受け入れられている、というものであった。

この気づきを得たとき、どうして私がオランダにうまく順応できたのかがわかったような気がした。六年前、米国に渡ったときとはまるっきり異なる次元で、オランダに適応している自分が不思議でならなかった。

これまでの日記で紹介してきたように、オランダという国で流れる時間感覚と私の内側を流れる時間感覚は調和を成しており、オランダに到着後すぐに、私という存在が自然体に還ることができている実感があったのだ。

結果として、私はオランダという国に受け入れられているという感覚が、欧州生活の早い段階から芽生えたのだと思う。まさに今回のセッションで得られた洞察も、それを示唆するものであった。

欧州の森を司る神に受け入れられ、見守られているという確かな実感が今の私にはある。その感覚の端緒は、昨年の夏の欧州小旅行で、ドイツを横断する列車の中で見た青々とした森にあったのかもしれない。

ドイツの深い森を見たとき、神妙さを感じたのは、私が神の妙に触れていたからかもれしれない、と後々になって思う。

セラピストの元を離れ、成田空港に向かう道中、神妙さに包まれている感覚が消えることはなかった。大きな存在に耐えず包まれ、そうした存在と耐えず繋がっているという感覚は、今後の私の足取りをさらに確かなものにするであろう。

今回の出国前夜もホテル日航成田に宿泊することにした。夕方、ホテルに到着し、今回もあのカフェに立ち寄った。

昨年と全く同じメニューを注文し、書籍や雑誌が立てかけられている本棚に目をやると、ノルウェーを特集したあの旅行誌がそこにまだあったのだ。私はおもむろにその雑誌を手に取り、再びノルウェーの自然に思いを巡らせていた。

過去から今日までのつながりを見て取った時、ドイツの森を司る神が、ノルウェーの森を司る神を私に紹介してくれたのだと思った。この夏、私はノルウェーに行くことに決めた。2017/1/7

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