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618. 帰国前日の止まない読書


この四日間ぐらい思考が乱れ、それが文章の乱れにもつながっていたように思う。言葉が出てこない状況が続き、そこから無理に言葉をひねり出し、それらを組み合わせるような状態が少しばかり続いていた。

そうした状態にあっても、日々の状態を文章で書き残しておくことを忘れたくはなかったのだ。一昨日から昨日にかけて、気が狂うように大量の論文に目を通していた。

「複雑性と人間発達」のコースで取り上げられている全てのトピックから離れることができず、ひどく熱中した状態が続いている。「複雑性科学」と聞くと、身構えてしまうかもしれないが、私たちの身近なところに複雑性は常に潜んでおり、複雑性科学を探究することによって、随分と日常の視界が変わってきたように思う。

また、私たちの知性や能力も複雑な発達プロセスを見せるため、知性発達科学に複雑性科学の知見が日増しに取り入れられているというのも納得する。それにしても、昨日の最大の驚きは、「ターケンスの埋め込み定理」だった。

昨日のクラスを担当したラルフ・コックス教授が指摘している通り、フローリス・ターケンスというオランダ人数学者は、フィールズ賞を受賞するような功績を数学の世界に残したのだ、と数学の素人ながら思う。

ちょうど先日、フローニンゲン大学のバーナード・フェリンガ教授がノーベル化学賞を受賞し、大きな注目を集めていた。実はターケンスもフローニンゲン大学の教授であり、フェリンガ教授のように何かの賞を受賞したわけではないが、ターケンスが数学の世界に果たした貢献に思いを馳せていた。

ターケンスの著名な論文 “Detecting strange attractors in turbulence (1981)”を昨日読みながら、一つの時系列データから元のシステムの挙動を復元できるというのは、改めて驚くべきことだと思った。

分析をしようとするシステムの構造が不明な場合でも、一つの時系列データを用いれば、そのシステムの挙動が復元できてしまうのだ。「ターケンスの埋め込み定理」に関する正確な理解と研究への適用方法についてはこれからさらに探究をしていきたい。

驚きとある種の興奮状態の中、この二日間は特に集中的な読書をしていたように思う。この二日間の就寝前には必ず、もはや活字が頭に入らないほどの状態まで思考内が言語記号に埋め尽くされていた。

普段はこの少し手前の状態で活字から離れるようにしているのだが、この二日間は自制をすることができなかった。それぐらい、今学んでいる分野は自分にとって重要であり、大きな関心を引くものなのだ。

今日も早朝の四時に起床し、十時半まで論文と専門書に目を通していた。集中的な読書の後、近所のサイクリングロードへランニングに出かけた。午後からも引き続き、論文と専門書に目を通すということを行っていた。

午後五時を迎えたところで、明日の早朝に日本へ一時帰国することを思い出した。今から荷造りをしなければならない。2016/12/23

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