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601. 再帰定量化解析と言葉の開花


今朝も朝一番の日課であるオランダ語の学習に取り組んでいた。オランダ語に費やす学習時間は、ほんの数十分に過ぎないのだが、これを毎日継続していると、気づいたときには、自分の学習の蓄積を感じられることがある。

今学期は日程的にオランダ語のクラスを受講することができなかったため、毎日一、二ページずつ自分でテキストを進めている。そうすると、気づかないうちに、正規のオランダ語のクラスの進行と同じぐらいに、着実に学習が進んでいるのがわかる。

もちろん、現在は適切な教師に付いて学習を進めていないため、理解が浅い箇所や思わぬ誤解がある箇所を避けることはできないだろう。しかしながら、自分の内側で着実にオランダ語の世界を開拓しつつある、という事実は励みになる。

四ヶ月前、オランダ語について何も知らない状態で生活を始めた時に比べて、随分と進歩があるように思う。スーパーやカフェでのやり取りを英語ではなく、オランダ語で行えるようになったことは、自分にとっては大きなことである。

昨日、行きつけの近くのチーズ屋を訪れた。店主の方と親しくなり、店主は私の国籍やオランダ語の水準をすでに知ってしまっているため、どうも会話がすぐに英語になってしまう。

オランダ語で会話を往復させるためには、もう少し時間がかかりそうだ。今学期中に、オランダ語の初級コースのテキストを全てカバーできそうなので、あとはこのテキストを繰り返しながら、実際の会話でオランダ語を活用していくことが重要になるだろう。

フローニンゲン大学は留学生が多く、なかなかオランダ人の学生と親しくなる機会がないという話もあるが、幸いにも、私はオランダ人の友人が何人かいるため、彼らとオランダ語で話す機会を作ろうと思えばいくらでも作れるはずなのである。あとは、自分のオランダ語力をどれだけ高めるかにかかっているだろう。 午前中の最後と午後一番に取り掛かっていたのは、「再帰定量化解析(recurrence quantification analysis)」という、ダイナミックシステムの挙動を分析する手法に関する論文である。再帰定量化解析は、ちょうど来週の「複雑性と人間発達」のクラスで取り扱うトピックであるため、 “Cross recurrence quantification of coupled oscilattors (2002)”という論文を身近に感じながら読み進めることができた。

人間の知性や能力の発達について研究をしていながら、このように物理の論文を読むことになるとは以前の自分からは想像もつかなかったが、多様な学問領域を狩猟横断してみると、他の学問領域の発想や研究手法が、自分の研究に対して非常に有益なことが多々ある。

この論文もまさにそうしたものである。午後からは、 “Self-organization of cognitive performance (2003)”を読み、大いに参考になった。うなってしまう箇所が幾つもあり、書き込みが非常に多い論文となった。

この論文に記載されている概念の多くは、ダイナミックシステム理論の中でも主流のものなのだが、ある概念に対して、自分がこれまで理解していた角度とは違う角度から説明がなされていると、ハッとする思いになることが度々あった。

一つの概念に対する理解度も、カート・フィッシャーのレベル尺度を用いれば、その深さは随分と異なることがわかるだろう。自分の中で理解度が浅いものについて、この論文は新たな意味を私に付与してくれたのだ。

さらに、一定程度の理解度を獲得しているものについては、別の角度からの説明を受けることで、その理解がさらに深まったと言える。知識の体系を構築していくとき、その素材の堅牢性を高めていくためには、このように、多様な文献に触れることによって、ある概念を多様な文脈の中で捉えていくことが重要なのだと思う。

私たちの言葉はどれも、文脈が変われば、必ずその言葉が内包している意味や色や形に揺らぎが起こると思うのだ。多様な文脈の中で一つの言葉と向き合うことによって、ある言葉に揺らぎという変動性がもたらせ、それがその言葉の意味をさらに開いていくことにつながるのではないか、と思わされる。2016/12/8

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