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591. シンタクラース祭


フローニンゲンの街が白銀世界になりつつある。今朝の起床後、書斎の窓から見える風景の中に白色が強まっているのを実感した。今日は、最高気温ですらマイナスを記録している。

このような寒さの中、午前中に論文アドバイザーのサスキア・クネン先生の研究室を訪問した。先生の研究室に向かうまでの道すがら、気温の低さとは正反対に、自分の気持ちは高揚していた。ノーダープラントソン公園も、すっかりと一面が白銀色に染まっていた。

公園内の池に差し掛かると、池が凍り始めていることに気づいた。まだ凍っていない部分の上を、何羽かのカモが泳いでいた。池の中を泳ぐカモを見て、「凍り始めている池の中をあれらのカモは寒くないのだろうか?」と思わずにはいられなかった。

池に近い岸を見てみると、たくさんのカモがそこで休んでおり、私と同様の眼差しで、泳いでいるカモを見つめていた。池の上を優雅に泳ぐカモたちのたくましさは、実に見事である。

それにしても、空がなんと澄み渡っていることだろうか。空を見ているこちらの心も澄み渡るかのようである。外気の寒さによって引き締まった空気を吸いながら、私は先生の研究室へと向かっていた。

こうして地に足をつけながら歩いていると、地上をこの足で歩くことの意義を強く感じる。日々の探究生活の最中、概念世界の中での仕事がいかに多くても、自分の足でこの世界を歩くことを忘れてはならない。

この世界での一歩一歩の歩みが、内面世界の成熟への歩みと一致しなければならない。そのようなことを考えさせられていた。

クネン先生の研究室に到着すると、いつものように雑談からミーティングが始まった。最初の話題はもちろん、寒さが深まる今日の天気についてであり、今日の晴れ渡る空についてであった。

その後すかさず、先日友人から話を聞いていた、「シンタクラース祭」について先生に質問をしてみた。オランダには、クリスマスが二回あり、その一つが12/6のシンタクラース祭である。この不思議な休日について、詳しいことを知りたかったのだ。

:「先生、そういえば先日、オランダにはクリスマスが二回あると聞きました。『サンタクロース』ではなく、『シンタクラース』がやって来るとか・・・。」

クネン先生:「ええ、そうよ!ちょうど明日がシンタクラース祭ね。」

:「よろしければ、シンタクラース祭の背景について、特にその歴史について教えてもらえますか?」

クネン先生:「それは、私の好きなテーマの一つだわ。何時間でも話せるわよ(笑)。長めのバージョンと短めのバージョンのどちらがいい?」

:「短めのバージョンでお願いします(笑)」

その後、シンタクラース祭の歴史について、先生からあれこれと話を伺った。なにやら、シンタクラースはオランダ人ではなく、もともとはトルコの聖人だったようだ。

シンタクラースからは、贈り物のみならず、詩のようなものも子供達に贈られるそうだ。この詩は、贈り物を受け取る子供にまつわる内容が記載されており、その子供の悪い癖などをユーモアを交えながら指摘する内容になっているそうだ。

近年では、両親の間でもでも詩を交換し、日常口に出して言えないお互いの欠点をユーモアを交えながら指摘し合う、とクネン先生は笑いながら説明をしていた。シンタクラース祭の当日は、各学校に専用のシンタクラースが現れ、街中にはたくさんのシンタクラースで溢れ返るそうである。

ピアジェの発達段階モデルで言うところの「具体的操作段階」の前期にいる子供たちは、街中でたくさんのシンタクラースを目にすると、自分が先ほど学校で目にしたシンタクラースの存在と混乱してしまう、という微笑ましい話もあった。

私も明日、シンタクラースを見物しに街中に足を運んでみようと思う。2016/12/5

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