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585. 間主観的領域への関心


他者との対話は、いつも不思議な体験として、自分の内側を駆け抜けていく。人と人が言葉を交わし合うことの中に、今の私では掴み取ることのできない何かが無数に存在しているのを感じる。

オランダに来てからの最大の変化は、対話に対する意味付けが変わり、他者と対話をするという行動が増したことにあるだろう。日々の探究活動の性質上、どうしても書籍や論文という文字空間の中で過ごす時間が多くなるというのは、避けることができない。

だが、これまでの私は、そうした文字空間の中に閉じこもりすぎる傾向があったように思う。それに対して、今の私は、自分の内側の何かがオープンなものに変わりつつあるのを実感している。

極めて些細なことかもしれないが、日々の論文アドバイザーとの対話や友人との対話の中に、いつも新たな気づきや発見があり、その事実に価値や意味を見出すようになっているというのは、自分の中での大きな変化なのである。

今日は、土曜日であるが、いつものように自分の仕事を午前中に行っていた。午後からは、二人の日本人留学生とカフェで対話を行っていた。カフェの中で談笑する他の客を見て、改めて、自然言語を用いて人間が意味を交換するというのは、奇跡的なことのように思えた。

これは大げさかもしれないが、私が人と話をするとき、あるいは、他者が会話をしているのを見るときはいつも、そこでの営みが奇跡的なものに映る。今の私が考えを深めていきたいのは、まさに人と人との対話にあるのかもしれない。

これまでの私は、一人の個人が意味を生成することや言葉を紡ぎ出していくことに強い関心があった。現在、自分の中で少しずつ芽生え始めている関心は、二人以上の人間が共同で意味を生成することや言葉を紡ぎ出していくことにある、と言えそうである。

つまり、主観的な言葉の生成から、間主観的な言葉の生成に関心を持ち始めている、ということである。少しずつ、少しずつで良いので、他者と意味を共有することや、他者と意味を作り出していくことについて考えを深めていきたいと強く思う。

間主観的な領域への私の関心は、オランダの地でようやく芽生えたものだと言えるだろう。

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