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574. 構成的感覚


早朝から昼にかけて、仕事が大変はかどった。米国のアマゾンに注文した専門書と異なるものが昨日届けられたため、午後一番に、それを返品するために近所の郵便局に出かけた。それにしても、オランダに到着してから、アマゾンを経由した注文に紛失などの手違いが多いことは残念である。

今回注文した書籍は、ダイナミックシステムアプローチを幼児の身体運動の発達に適用した第一人者であるエスター・セレンとリンダ・スミスが執筆した “A dynamic systems approach to development: Applications (1993)”だったのだが、 間違って同著者の “A dynamic systems approach to the development of cognition and action (1994)”が届けられたのだ。

後者の書籍は、二年半前にすでに購入しており、成人以降の知性発達にダイナミックシステムアプローチを適用する際にも有益な洞察を多数含んでいるものである。今回注文した書籍も非常に楽しみにしていただけに、今回の一件は残念だ。

懲りずにもう一度他の書店に注文しようか迷ったが、オランダで生活を始めてから、アマゾンで注文した書籍が届かないということが、すでに四、五回起こっているので、結局注文することを止めた。

その代りに、大学のオンラインジャーナルを活用し、幸運にもE-Book形式でダウンロードすることができることを発見した。いつも、自分が本当に必要とする専門書や論文は、必ず紙媒体で入手するようにしているため、今回もE-Bookをダウンロード後、特に注目をしている著者の論文のみを紙で印刷することにした。 その後、自宅の書斎であれこれ調べ物をしているうちに、すっかり日が落ち始めていることに気づいた。書斎の窓からストリートを見渡すと、早朝に積もっていた霜がまだ残っていた。

今日は朝から雲ひとつない快晴であり、夕方の現在においても、フローニンゲンの空は綺麗である。地平線に近い空が薄赤く色づいている。その上を複数の飛行機が飛び交い、飛行機雲を残している。今日の天候の影響からだろうか、飛行機雲がいつもより短く、白い人魂が天空を行き交っているように思えた。 そうした景色を眺めながら、昨日体験した不可思議な感覚について考えていた。この感覚を端的に述べると、すべてが一瞬の時の中で、自分の内側で再構成されるような感覚である。

これは、完全に自己が生まれ変わる感覚ではないのだが、自分の内側の思考・感覚・体験などが、新たなまとまりを生み出し、その新たなまとまりが自己の中に構成されていることに気づいている、という感覚だ。

これは非常に明晰な感覚であり、他に表現しようがないように思う。私たちの知性の発達の核に、構成的な特徴が備わっていることをジャン・ピアジェが指摘していたが、まさに自分の内側で何かが構成される瞬間に立ち会っているかのような感覚であった。

内面現象が次々に新たなものに構成されていくプロセスとの邂逅であると言ってもいいかもしれないし、また、構成的な発達現象の原型を直視・体験していたと言ってもいいかもしれない。いずれにせよ、このような現象が自分の内側で確かに生じているのだ、ということに気づけたことは大きな発見であった。

さらに、知性発達科学における諸々の概念や理論が、単なる観念的な虚構の産物ではなく、肉感の伴った構築物であることに改めて気づけたことも大きい。知性発達科学の世界に参入してから、まだ五年しか経っていないが、概念や理論が実体験の伴ったリアル以上にリアルなものとして、自分の内側に流れ込み始めていることを嬉しく思う。

これからの自分がやるべきことは、こうした感覚の流入を遮ることなく、逆にそれらを促し続けていくことにあるだろう。 再び、書斎の窓から空を眺めた。人魂のように見える飛行機雲が、無数に天空を行き交っている。

その中でもひときわ私の注意を引いたのは、二つの飛行機雲が一つの中心点に向かって進んでいる姿であった。二つの魂の統合の先に、新たな魂があるにちがいないと思わずにはいられなかった。

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