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496. システム構築力を試す試験


今日も仕事がはかどる一日であった。午後の仕事がひと段落し、コーヒーを片手に書斎の窓から景色を眺めると、黄金色の夕日に照らされた飛行機雲を見つけた。この飛行機雲は、ちょうど私の書斎の上空から一直線に空を貫いている。

その様子は、一筋の蜘蛛の糸が天空からぶら下がっているかのようであった。飛行機雲とは別に、空には様々な種類の形を持った雲が浮かんでいた。地上から近いところにある雲は足早に流れていく。一方、蜘蛛の糸のような飛行機雲は、流れることなくそこに留まり続けている。

しばらく私は、何も考えることなしに、その飛行機雲を気が済むまで眺めていた。その後、再び仕事に戻った。来週末に迫った最終試験について、コースで取り扱った論文や書籍の内容を理解し、それを自分なりの言葉で説明できるように学習を再開させたのだ。

コースを担当するルート・ハータイ教授が親切にも、試験のサンプル問題を最終回のクラスで共有してくれていた。それを改めて眺めると、意外と高度なことを要求するものだ、と思っていた。というのも、この試験は、単にコースで取り上げた概念や理論の意味がわかっているだけでは不十分であり、それらをメタ分析する力を試す内容になっていることがわかったのだ。

つまり、複数の概念や理論のつながりや関係性を俯瞰的に捉えて、それらを柔軟に比較したり、それらを組み合わせてみるとどのようなことが言えるのかを要求するような内容の試験なのだ。「タレントディベロップメントと創造性の発達」に関する学習は、私にとって今回初めてであったため、学習の初期は、どうしても概念や理論の定義を正確に把握する能力が必要となる。

発達心理学者のカート・フィッシャーの段階モデルで言えば、抽象的な概念や理論の一つの特徴が掴めるレベル9の段階から学習をスタートさせた、ということである。実際のところ、意外と一つ一つの概念や理論の意味を理解することは難しく、自分自身に説明してみると、全くわかっていないことが判明したりするものである。

そのため、レベル9の段階まで理解力を上げることに対しても、意外と労力を要するものである。一つ一つの定義がしっかりと掴めたところで、複数の概念や理論を比較してみるというレベル10の段階に至るのだ。

あるいは、一つの概念や理論の複数の幾つかの側面を捉えられるようになってくるのも、理解力がレベル10に到達した証拠だろう。この試験ではどうやら、さらに上の段階であるレベル11の力を試そうとしているようなのだ。

レベル11では、概念や理論を組み合わせることによって、新たな意味の体系(システム)を作れるようになる必要がある。レベル10で行ったような単なる項目列挙や比較ではなく、比較の結果から得られた問題意識に対して、さらにどのようなことが言えるのか、を自分で体系立てていくことが求められるのだ。

一般的に、レベル9からレベル11への移行期間は、少なく見積もっても、数年間という時間が必要となるはずである。全七回、二ヶ月間のコースでレベル11の知識活用力を求めるのは、なかなか過酷だと思った。ただし、今回は学習領域を限りなく狭め、各担当講師がうまく受講生の理解力を促すようなクラスを展開していたため、短期間でそのようなレベルに到達するのも不可能ではないのかもしれない。

今回のコースを通じて、タレントディベロップメントや創造性に関する内容的な理解だけではなく、知性や能力の高度化を支援する手法や枠組みについて、色々と考えさせられることがあった。クラスで得られたそのような気づきを、自分のティーチングやコーチングなどの実践に組み込んで行こうと思う。

再び空を見上げると、空に浮かんでいた蜘蛛の糸のような飛行機雲はどこかに消えていた。飛行機雲が消え去ったフローニンゲンの空は、赤紫色に染まっていた。自分という存在が、ただただ大きなプロセスの中にあることを感じる。いや、自分という存在は、そのプロセスそのものなのかもしれない。

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