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475. 同志


今日は最後のオランダ語のクラスを途中で退席し、フローニンゲン大学とロッテルダム大学が共催の学術会議に参加した。この会議は、「人財の評価と選定」を専門とする研究者がお互いの研究成果を報告し、意見交換することを目的とされたものである。

今回の会議は第11回目とのことであり、場所はフローニゲンの中心部で開催された。この会議はそれほど規模が大きいものではなく、オランダ国内の中で「人財の評価と選定」を専門としている研究者だけが参加するものであり、参加者の人数は20名ほどであった。

ほぼ全ての参加者が経験豊富な教授陣であり、発表を担当した者の中には博士課程の学生が少数いたが、私のように修士課程に在籍している者はほとんどいなかった。今回の会議に関する告知は、一応「タレントディベロップメントと創造性の発達」プログラムに属する修士課程の学生に行き届いていたのだが、実際に参加したのは、同じプログラムに所属するオランダ人のエスターと私しかいなかった。

会議の内容に触れる前に、エスターについて触れなければならない。彼女はフローニンゲン生まれのフローニンゲン育ちということで、生粋のフローニンゲン人と評して問題はないだろう。実は、エスターとはこれまで一度も会話をしたことがなく、プログラムの歓迎ランチの際に、別のテーブルに座っているのを見た記憶があるぐらいの関係であった。

しかし、今日の会議の主催者から、もう一人修士課程の学生がいる、ということを聞いており、会議室に入るところでエスターと偶然顔を合わせることになり、そこでお互いについて色々と話すことになったのだ。

二言三言、エスターと言葉を交換してみてすぐに気づいたのは、彼女が極めて特殊な色と形を持った言語世界を作っていることであった。そうしたことから彼女の学術的バックグラウンドについて尋ねてみると、最近まで「天体物理学(astrophysics)」を専門としていたようなのだ。

これを聞いた時、私は大変嬉しくなった。というのも、昨年のある時期に、集中的に天体物理学に関する書籍や雑誌に目を通していたことがあり、この分野には前々から興味があったのである。

自分の専門とする内面宇宙とは対極にある外面宇宙について、なぜだか強い関心を一時的に示す自分がいたのだ。私が数字や法律という客観的外面世界から主観的内面世界の探究に方向転換したのと同様に、エスターも外面的物理宇宙から内面世界に方向転換したことを知り、強い親近感を持った。

また、エスターが哲学者とは違う切れ味で言葉を操ることにも関心を持った。そして何より、最も意気投合したのは、彼女もダイナミックシステムアプローチに強い関心を持っているということだった。

確かに、応用数学のダイナミックシステムアプローチは、天体物理学の世界では非常に馴染みのあるものであり、彼女がこの手法に関心を持っていることはあまり驚くに値しないのかもしれない。

しかしながら、ダイナミックシステムアプローチを外面宇宙ではなく、内面宇宙のプロセスやメカニズムを解明することに適用しようとする同世代の同僚が皆無であったため、エスターが目の前に現れたことは、私にとって非常に喜ばしかったのだ。

学術探究に関して意気投合したのは、哲学科に所属するキューバ人のシーサー以来、二人目のことである。シーサーが関心を持つ認識論や言語哲学は、確かに私の関心領域でもあるが、それは私の仕事と直接的に関係しているわけではないため、エスターとの出会いは私にとって大きな意味を持っている。

偶然の一致であるが、発達科学の世界にダイナミックシステムアプローチを普及させる先駆的役割を果たした、元インディアナ大学教授エスター・セレンと同じ名前を彼女が持っていることにも気づいた。おそらく、天体物理学を専攻していたエスターの方が、ダイナミックシステムアプローチに関する技術的(数学的)な側面に習熟していると思われるので、近いうちに改めて話をしてみたいと思う。

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