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430. 物質的かつプロセス的な知識


秋の安定期に入ったかのようなフローニンゲンの日曜日の朝。窓の外で未だ青さを保つ木々が緩やかな風に揺れている。今日の空は朝から薄い雲に覆われている。あいにく今日は午後から雨が少し降るらしい。

今日は、まさに書斎にこもって仕事を進めるにふさわしい日になるだろう。今朝は連続した二つの奇妙な夢を見たところで目が覚めた。どうやら十時間ぐらい寝ていたようである。そういえば、このような大量の睡眠をとることが周期的にやって来ることに気づいた。

それは一ヶ月に一度ぐらいのペースであろうか。確かに昨日は、高い集中力を持って自分が予定していた仕事をすべて終わらせることができた。昨日においていつもと違うことを何かしたかというと、久しぶりに大量のPPTスライドを作成したことと文章をそれほど書かなかったことだろうか。

この二つが昨夜の睡眠時間にどれほどの影響を与えているのかは定かでない。昨日の二つの要因が引き金になったというよりも、やはり様々なものが私の中に蓄積した結果として、昨夜のように長い睡眠が必要となったのかもしれない。

いずれにせよ、一対一の線形的な対応関係ではなく、無数の要素が絡み合う非線形的な関係がそこにあるような気がした。いつもより二時間遅い起床だったが、そこは柔軟に対応し、毎朝の習慣としている実践を各々少し短めの時間で行うことにしていつも通りのリズムを作り出した。

先ほどの睡眠の件しかりここ最近テーマとしていた知識体系の構築化の件しかり、どちらにおいても非線形的な複雑な関係性が鍵を握るのかもしれないと思った。するとふと、私たちの知識を物質とみなすのかプロセスとみなすのか、あるいはその両者の総合体とみなすのか、という三つの立場があることを思い出した。

確かに私たちの知識は、記憶として脳内のどこかに格納される物質のようなものである。正確には脳のどこかに格納されているというよりも、シナプスの連鎖とニューロンの発火によって記憶が立ち現れるようなものなのかもしれない。

いずれにせよ、脳という物理的な物質が関与しているため、確かに私たちの知識には物質的な側面があるだろう。しかしながら、仮に知識が物質として脳に格納されているのであれば、これほどまでに記憶が抜け漏れてしまったり、記憶違いをしてしまうような現象に判然としないものを感じる。

私たちの脳はそれほど性能の悪いものなのだろうか。仮に認知科学者のように、私たちの脳を「機械」というメタファーで捉えるならば、脳が容易に記憶の抜け漏れを生み出すことを考えると、私たちは相当に低い性能の機械を持っていると言わざるをえない気がする。

また、知識が物質的な側面を持っているのであれば、これほどまでに環境や文脈に応じて形を変えることにも釈然としない。これほどまでに姿を自由自在に変えれる物質を私は他に知らないため、それを物質と呼ぶことに躊躇するのだ。

このようなことに思いを巡らせてみたとき、ダイナミックシステム理論に関して「ブルーミントン学派」という思想潮流を打ち立てたエスター・セレンとリンダ・スミスが、知識を単なる物質として解釈することにあれほど強い批判を加えていた理由がわかるような気がした。

もちろん私たちの知識は、客観的な物質である脳と密接に関係しているため、物質的な側面もあるだろう。しかしながら、知識というものがそもそも思考や感情と密接に関わる主観的な事象であるがゆえに、知識を単なる物質とみなすことには限界があるのである。

セレンとスミスのダイナミックシステム理論に基づけば、私たちの知識はプロセスとしての側面も持っているのだ。私たちは現実世界の動的に変化する多様な環境や文脈の中に置かれることによって、知識がリアルタイムに再編成される形で立ち現れ、そしてそれが活用されるのである。

また、知識は時や状況の変化に応じてダイナミックに姿を変えていくという特徴を持っている。こうした特徴の中でも私が特に着目しているのは、知識が組み合わさり、質的に異なったものに変容していくプロセスとメカニズムに他ならないことに改めて気づいた。知識を単なる固定的な物質ではなく、物質的な側面を持った動的に進化するプロセスとして捉えることに何かヒントがありそうだ。2016/10/9

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