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419. サスキア・クネン教授との二回目のミーティング


今日の午前中は、論文アドバイザーのサスキア・クネン教授とのミーティングがあった。初回のミーティングから一週間経ち、今日は私がドラフトした研究提案書について色々と助言をもらった。論文の大枠に関してはほぼ問題ないとのことであった。

ただし、研究方法の選択とリサーチクエスチョンに関する箇所は、もう少し説明を追加した方がいいとのことであった。クネン先生の指摘の通り、確かに論文の背景とリサーチクエスチョンとの間には少し飛躍があり、説明が少々足りないことに気づかされた。

今回の研究提案書は、800字という字数制限があるため、あまり事細かに説明することはできないのだが、それにしてもリサーチクエスチョンの箇所には、曖昧な点が幾つか残っていたように思う。特に、「なぜカート・フィッシャーのダイナミックスキル理論を活用するのか?」「ある知識領域において、成人学習者が書き言葉で発揮するポテンシャルレベルが学習プロセスの形に影響を与えうるかもしれないということが、どうして重要なのか?」「この研究では、『受動的な学習者』と『能動的な学習者』をどのように定義しているのか?」「成人学習における教師の役割とは一体どのようなものであり、この研究で想定しているインタラクションの種類にはどのようなものがあるか?」などをより明確にしておく必要がある。

提案書の大枠に関してクネン先生と意見交換をした後に、理論モデルを構築することの意義と定性的研究手法の進め方に関して助言をもらった。今回の研究で用いるデータは量的にはかなり多く、データを眺めることから研究を始めてしまうとあまりにも時間を食うため、まずは自分なりの理論モデルを構築することを勧められた。

理論モデルを構築することによって、データの着目箇所がより鮮明になる。仮にデータから理論モデルに反するようなものが検出されても、それをユニークな発見事項として早期に理論モデルを修正していくことができる。研究の中にも要素間の動的な相互関係があり、データと理論モデルはお互いに影響を与え合いながら研究が徐々に深まっていくのである。

「理論モデルの構築」と言うと少し仰々しいのだが、自分の研究仮説をもとに、変数間の関係性を考え、小さな理論を組み立てるようなイメージである。「理論モデル」という言葉に尻込みをする必要はなく、暫定的なモデルを組み立て、研究の進行に応じて徐々にそれを洗練化させていきたい。

次に話題となったのは定性的研究手法についてである。今回の研究は数式モデルを構築する前に、定性的研究手法を活用することが求められる。ここでより調査をした方がいいと勧められたのは、「グラウンデッド・セオリー(grounded theory)」と呼ばれる定性的調査手法である。

偶然ながら、日本にいた時に、グラウンデッド・セオリーの提唱者バーニー・グレイザーとアンセルム・ストラウスの著書 “The Discovery of Grounded Theory: Strategies for Qualitative Research (1999)“を購入して、どのような調査手法なのか少しばかり調べていたことがあったのだ。

確か当時は、コンサルティングやコーチングの仕事を通じて得られたデータから、どのようにして自分独自の理論を構築していけばいいのかを探求していた時期だったと記憶している。当時の記憶をもとにすると、グラウンデッド・セオリーとは、既存の理論モデルから研究を進めるのではなく、まずはリサーチクエスチョンを立て、定性的データに見られる特徴的な要素をコード化し、コードに対して概念やカテゴリーを割り当てていくような手法だったと思う。今のところそのような理解しかないため、クネン先生の助言に従い、いくつか関連文献に当たってみようと思う。

ミーティングの最後に、正式にスーパーバイザー契約を書面で取り交わし、ミーティングの頻度や研究の中間報告の時期、そして論文の提出日などを決定した。帰り際、研究者として扱える研究テーマやプロジェクトの数はごく限られたものにしかなりえないことを悟り、一つ一つのプロジェクトと真剣に向き合っていきたいと思った。

そのような姿勢を持って仕事を続けていくこと以外に、研究者としての成長はないように思わされた。

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