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375. 自助


フローニンゲンの気候も随分と秋めいてきたのだが、今日はとても暑い日であった。夏としての役目を果たし、爆発の中にフローニンゲンの夏が死んでいくかのようであった。明後日からは、最高気温が20度前後の気候となるようだ。

日ごとに自分の思考空間が英語という言語に支配され、その間隙にオランダ語が組み込み始める中で、精神的な安定と治癒をもたらすために、一週間に一度は和書を読むという習慣が今のところ辛うじて続いている。

自分の精神を安定させるという意味に加え、自分の日本語の世界をより豊饒かつ堅牢なものにしていくためには、一週間に一度は和書を読むという実践を継続させていく必要があるように思う。

先週末も、現在手元にある二冊の和書の内の一冊である森有正先生の全集第一巻を読んでいた。じっくりと読み進めていたため、ようやく本書を読み切ることができた。本書は、年代としては約60年ほど前の時代に書かれたものであるが、これほどまでに著者の近くにいる感覚を味わったことはこれまで一度も無かったのではないか、と思われる。

それほどまでに、森先生がパリで辿ってきた探究の軌跡というものが、自分のそれと強く共鳴していたのだ。ある意味、こうした先人を得ることができたというのは有り難いことであると同時に、どこか自己欺瞞の道へ転落させかねないという危惧を抱いている。

というのも、森先生の歩みというのが、自分のこれからの歩みと多分に重なって見えており、先生の探究過程と自分の探究過程を安易に重ねて生きて行くことは、自分固有の探究プロセスを欺いているように思うのだ。

そうした自己欺瞞に陥らないためにも、自らの経験をもとにして文章を書き続けていくということを行っていきたい。文章を書くというのは、当然誰かに向けて表現行為を行うということを第一目的とするのだと思う。

しかしながら、正直なところ、私は誰かに向けて毎日文章を書いているわけでは決してないのだと思う。とにもかくにも最初の読者に向けて文章を書き続けることが大事だと思っている。私の文章を読む最初の読者は私に他ならない。

ここで毎日共有されている文章は、第一の読者である私が、文章で書かれている意味を適切に理解しているかどうかに基づいて書き記されている。もし仮に、不特定多数の誰かに向けて真に伝えたい内容を文章の形で書いていくのであれば、理路整然とかつより平易な言葉遣いで執筆していることだろう。

さらには、ここで共有されているように、自己の未熟さを他者に開示するようなことも決してないはずである。しかし、私たちが常に成熟への過程の中にいるというのであれば、私たちは常に未熟さの中にいると言い換えることができるだろう。

日々前進していくためには、私は自分に対して自己の未熟さを常に突きつけていく必要があると考えている。自分に向けて己の未熟さを知らしめるかのごとく、自己の未熟さを滲ませた文章を毎日自分で書き、最初の読者としてそれと否応無しに向き合う必要があると思っている。

結局、毎日書き記されている文章の多くは、私が自分の探究過程を常に確認するためのものであり、自己の精神的治癒と成熟へ向けた克己のためのものなのだろう。そうした意味で、現在の私にとって書くということが自助的なものとなっており、その意味合いは今後長らく続いていくかもしれない。

だが、私にはどうしても自助を突き詰めなければ、真の意味での他助はないと思うのだ。少なくともこれまでの人生で私を救ってくれた文章はどれも、著者が断固とした意志を持って自助に尽くした果てに生み出したものだけであった。2016/9/13

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