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359. オランダ語クラスの開始

September 18, 2016

今日からいよいよ週二回のオランダ語のクラスが始まった。実は、最も初級のクラスはその他の曜日や時間帯もあり、履修登録をする際に早朝九時から始まるこの時間帯のクラスは一番人気がないようだった。私としては、夕方の時間帯や夜の時間帯を避けたかったため、この時間帯にクラスが提供されていることをとても有り難く思っていた。

 

この時期のフローニンゲンの朝はすでに寒くなってきており、長袖やジャケットを羽織っている人もいるぐらいである。本日のクラスに参加することを心待ちにしていた私は学習熱で満たされており、そのような気温の中を半袖で闊歩していた。

 

自宅から15分ほど歩き、語学センターに到着した。教室に入るとすでに10名ぐらいの履修者がいることに気づき、先生であるリセットが笑顔を浮かべながらオランダ語で私に挨拶をしてくれた。合計で15名ぐらいの履修者だろうか、大きすぎず小さすぎずの程よい規模でこのクラスが開始されることになった。

 

このクラスは最も初級レベルであるが、クラス開始からリセットがオランダ語で色々と喋りだし、私を含めた履修者一同は戸惑いと好奇心を含んだ笑顔になった。後々気づいたのだが、リセットはそれほど英語に堪能ではないようなのだ。もちろん、発音などは綺麗に聞こえるのだが、英語の語彙がそれほど豊富ではないということを自らも指摘していた。

 

そうしたこともあり、このクラスは本当にオランダ語漬けに近い状態にさせられる。まさにこうした状況に置かれることによって、ある特定の言語が磨かれていくのだと思う。オランダ語に占有された言語空間に縛られる快感とでも言ったらいいのだろうか、リセットがオランダ語で作り出した教室空間に浸っている私は、新しい言語を本格的に学ぼうと志した時に湧き上がるあの高揚感と気概に満ちていたのだ。

 

当然ながら他の学習と同様に、言語にも発達段階があり、これからどのような発達プロセスを自分が辿っていくのか実に楽しみである。特に、オランダ語の習得度合いに応じて、自分の英語や日本語がどのように変化するのかを観察し、三つの言語の相互関係が私の認知や感情にどのような働きかけをしていくのかも逃さず観察していきたいと思う。

 

クラス開始前に、私の隣に座っていたイタリア人と雑談をしていた。彼はミランから来た産業組織心理学の修士課程に在籍するファブリツィオと言う。

 

ファブリツィオ:「どうオランダ語?

 

:「いや〜、日本人には難しいね。

 

ファブリツィオ:「そうか〜。実はイタリア人である僕にとっても難しいんだよ。

 

:「そうなの?ヨーロッパ言語を扱う人にとっては非ヨーロッパ言語を扱う人よりもオランダ語は楽かと思い込んでたんだけど。

 

ファブリツィオ:「いやいや、そうでもないね。ドイツ語はオランダ語と近いからドイツ人は比較的楽だと思うけど、イタリア語はどちらかというとスペイン語寄りなんだ。だから、僕にとってもオランダ語は難しいよ。

 

確かに、ドイツ語はオランダ語に近いということを知っていた。というのも、語学センターがドイツ語話者のためにオランダ語の特別クラスを設けている、ということをウェブサイトで見ていたからである。しかし、イタリア語がどちらかというとスペイン語に近いというのは知らず、どちらの言語にも深く触れたことがないので、両者が似ているという感覚もピンと来ていないが、それは面白いことを聞いたと思った。

 

実際にクラスが開始されると、まずは自己紹介をオランダ語で言うことから始まった。名前の言い方、出身地の言い方、住所の言い方などから始まった。15人の出身国は多様であり、日本、中国、インドネシア、アイルランド、ドイツ、スウェーデン、ロシア、ギリシャ、イタリア、ルーマニア、ポルトガルなどの国々であった。

 

これらの国々の全ての言語を習得したら、自分の認識世界はどのような変貌を遂げるのだろうか?それらの言語は世界をどのように把握しているのだろうか?という点が気になり始めた。

 

上記で列挙した国には人生を通じて一度も足を踏み入れない場所もあるだろうし、それらの言語を全て習得することも極めて難しいだろう。そのため、自分の内側と外側に触れられない世界が今後一生付きまとうことに対して、恐怖というよりも畏怖の気持ちを持ったのだ。

 

一通り挨拶が言えるようになると、次にテキストにある会話事例を音読することに多くの時間が当てられた。このクラスでは、文章を書いたり読んだりすることよりも、とにかく話すことに比重が置かれている。オランダ語独特の「g」の音の出し方やアルファベットの外見からは想像も付かないような音の単語もあり、文字認識を活性化させるよりも、聴覚認識を活性化させながらとにかく音を出していく訓練が必要だと思った。

 

英語において「v」と「b」、「r」と「l」の発音が適切にできるようになるには訓練しかなかったため、オランダ語においてもそれは同様だと思う。どのくらいの練習量で、どのようなタイミングで、今は非常に難解なオランダ語の発音が身につくのか楽しみである。

 

このクラスと来学期に履修予定のもう一段レベルの高いコースで使う “Nederlands in gang: Methode NT2 voor hoogopgeleide anderstaligen”というテキストは非常に中身が充実していると思う。掲載されている会話事例は、日常生活で頻出する文脈に基づいた対話であり、文法についても網羅的に押さえられていると思う。

 

また、このテキストは独自のウェブサイトとも連携しており、テキストそれぞれに固有の認証コードがあり、そのウェブサイトにログインすると、会話事例のオーディオを聴くことができたり、語彙を増やすためのエクササイズなどを活用することができる。

 

リセットが持っているテキストを見ると、とても使い込まれており、過去何年にもわたってこのクラスを教えてきたことを静かに物語っている。その声を聞きながら、私もこのテキスト一冊に絞り、掲載されている単語や文法を一つも漏らすことなく習得できるように、このテキストを使い込んでいこうと思う。

 

このテキストと二人三脚となり、新しい言語世界を開拓していこうという強い気持ちを持ちながら、今日の学習項目を繰り返し復習しよう。次回のクラスは金曜日の早朝だ。2016/9/6

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