
日本でいう10月中旬の気候に該当するのではないかと思われるぐらい、フローニンゲンの8月の気候は涼しい。今朝は晴天に恵まれ、近くの公園にランニングをしに行った。何を隠そう、この緑豊かな公園が近くにあるからこそ、今回の新居を選んだようなものなのだ。
ランニングの前に、家庭ゴミを指定のゴミ捨て場に持って行こうとした。すると、ゴミ箱には「Start」ボタンと、何やらカードをかざす箇所があることに気づいた。
「これは一体何のカードをかざせばいいのだろうか?ゴミを捨てるために特殊なカードを購入する必要があるのだろうか?」などと右往左往しながら、カードが無いと開かないことを承知で、ゴミ箱のドアを強引に開けようとしてみた。しかし、当然ながらビクともしない。
そういえば、フローニンゲン到着の深夜に、ヨスが何やらゴミの捨て方について二、三のセンテンスで説明してくれていたのを思い出した。だが、あの時の頭は朦朧としており、ヨスの話を真剣に聞くゆとりなど毛頭なかったのだ。
結局捨てることのできなかったゴミを片手に、とぼとぼと部屋にゴミを持ち帰ろうとした時、隣の棟の一階の住人がマウンテンバイクと共に偶然現れたのだ。今日は晴天であるから、サイクリングにでも出かけるところだったのだろう。
年配のこの男性に質問をしてみようと思い、すかさず自己紹介をすると、非常に親切にゴミの捨て方について教えてくれた。
私:「すいません、ここではゴミをどのように捨てればいいのですか?」
年配の男性:「あぁ、カードが必要なんだよ。ちょっと待ってなさい。今、どんなカードか見せてあげるから。」
私:「ありがとうございます。」
年配の男性:「これだよ、これ。市役所で住民登録したらもらえるよ。」
私:「あぁ、住民カード(residence permit card)ですね。つい先日登録を済ませたばかりで、郵送されてくるまでに2週間ぐらいかかるそうなんです。」
年配の男性:「そうかぁ、それは不便だろうから、一緒について来なさい。ゴミの捨て方と共にそのゴミを捨ててあげよう。」
私:「どうもありがとうございます!」
その方は大変親切なオランダ人で、奥さんと共に隣の棟の一階に住んでいるそうだ。ゴミ捨て場に到着して、ゴミの分別などについてあれこれ質問をしたところ、日本に比べて、非常に大雑把なゴミの捨て方であることに気づいた。
日本のすべての地域がどうなっているのかわからないが、私がこれまで住んでいた日本の地域では、基本的に燃えるゴミと燃えないゴミを分ける必要があった。しかし、ここフローニンゲンでは、燃えるゴミと燃えないゴミを分ける必要はなく、一緒のゴミ袋に入れて捨てていいのだそうだ。
一応、確認のために具体例を用いながら質問をしてみた。
私:「ということは、あそこに落ちているペットボトルとバナナの皮を区別して捨てる必要はないということですか?」
年配の男性:「そうだよ。その必要は全くないね。ただし、ガラスはダメだ。ガラスはあっちにあるコンテイナーの中に捨てなければいけないんだよ。あと、古紙類は月に二回ほど回収に来るから、その日に合わせて棟の外に置いておく必要があるんだ。」
私:「なるほど〜、了解しました。いや〜、本当に助かりました。どうもありがとうございます。」
年配の男性:「いえいえ、どういたしまして。それでは良い一日を!」
私はその年配の男性に感謝をし、住民カードが届くまであと一週間以上あるため、生ゴミを腐らせないように凍らせてしばらく凌ごうと思った。そういえば、これはサンフランシスコ時代のルームメイトだったスコットから教えてもらった生活の知恵だった。そんなことを思いながら、心待ちにしていたランニングに出かけた。
静かな公園を走りながら、観想的な生活リズムに入ったことを知る。