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215. 発達段階ごとの支援手法について


現在、日々の様々な仕事と並行して、昨年から今年の5月にかけて提供させていただいていた「オンライン発達理論ゼミナール」の受講生とのやり取りを振り返っている。Adobe Connectを活用したオンラインクラスのみならず、フェイスブック上で特別のグループを形成し、そこで受講生と意見交換や情報交換を行っていた。

私自身も受講生の皆さんとのやり取りから多くのことを学ばせていただいたと思っている。振り返る内容は多々あるが、今回の記事は、発達段階ごとの支援手法について詳細に記述されたマーク・フォーマンの “A guide to integral psychotherapy” という書籍を紹介したい。

人間の成長・発達を支援する際に、切り口を二つに大別すると、「コーチング的なアプローチ」と「セラピー的なアプローチ」に分けることができるだろう。両者はどちらも人間の成長・発達を支援することに主眼が置かれている。

私自身、サイコセラピストの資格を持っていないので、クライアントの心の闇(シャドー領域)に直接的に介入することを控えている。ただし、心の中で湧き上がる葛藤を抑圧したり、トラウマを解放させずに抱え続けていると、意識が成長・発達するための精神的エネルギーが葛藤などの抑圧に注がれてしまうため、成長や発達が止まってしまうことが多々あるのは事実である。

このことを鑑みたとき、発達支援に携わるコーチでも、サイコセラピーに関するある程度の知識が必要だと感じている。先日、ある研究会で取り上げられたテーマはコーチングであり、そこでもコーチが臨床心理に関する理解をある程度持っておくべきだという議論になった。

コーチングというのは紛れもなく、クライアントの心に介入する支援手法であるため、コーチが人間の心に関する知識を体系的に習得しておくことは必須だと思う。しかし、コーチは人間の心に関する知識が圧倒的に不足しているという声を多方面からよく耳にするし、世界を見渡してみても、サイコセラピストを養成するプロフェッショナルスクールは無数にあるが、コーチを養成するプロフェッショナルスクールは皆無に等しい。

ここで述べているプロフェッショナルスクールというのは、修士号以上を付与する権威を持った大学院のことを指している。コーチングに関して修士号を取得することができるのは、欧州を代表するビジネススクールのINSEADを含め、数えるほどしかないだろう。

それくらいコーチングというのは、プロフェッショナルサービスとしての地位をまだ確立できてないのではないかと思わされる。確固たる地位が確立されていないため、人間の心を扱っておきながらも、心について無知なコーチが世の中に溢れかえってしまっているのではないかと思う。医師国家試験を通過していない者が人体にメスを入れるのと同じくらい、コーチングを取り巻くこうした状況は非常に危険なことだと思う。

そこで、人間の心に関する理解を深め、コーチングに発達理論を適用する際に参考となる書籍を紹介したいと思った。私がJFK大学に在籍していたときにお世話になっていたマーク・フォーマン教授が執筆した著書“A guide to integral psychotherapy” は、ロバート・キーガンが提唱した発達段階5を超えて、段階6までの特徴を丁寧に解説し、発達段階に応じた介入手法やその論理が実に明瞭に記述されている。

この本は元来、サイコセラピーに発達理論を適用したものなのであるが、コーチングに発達理論を活用する上でも多大な示唆を与えてくれる。

いくら健全な心を持っている人でも、癒されることなく放置されたトラウマや心の闇があるものだ。全人格的・包括的な発達を射程に入れた時、サイコセラピーの枠組みはコーチングにおいて必須のものだと思う。人間の心に関する洞察を深め、多様な発達段階の特徴を知り、発達プロセスに応じたクライアントとの関わり方を考察する上で、本書は価値ある一冊だと思う。

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