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205. 領域全般型発達測定の実用性


日本の企業社会を眺めてみると、組織における人財育成に真に有用なアセスメントがまだまだ導入されていない、という印象を受ける。

この要因について企業人の観点から考えると、アセスメントというのは「評価のためのものである」という意識が強く、「育成につなげるためのものである」という意識が希薄なことが挙げられるかもしれない。

また、発達心理学者の観点から考えると、彼らは発達現象のプロセスやメカニズムの解明のみに光を当てることに留まり、人間の成長・発達に実りと豊かさをもたらす実践をアセスメントと結合させて提供することに踏み込んでいないからだと思う。そのため、人財育成に真に有用なアセスメントがなかなか企業社会に導入されていないのだろう。

ただし、日本の場合は、成人の知性や能力の構造的発達を扱う研究者が皆無に等しいため、単純に人手不足という問題が大きいが・・・。

今回の記事では、組織における人財育成に真に有用なアセスメントになりうる、レクティカが提供している「LAS」の実用性について簡単に紹介したい。これまでの記事の確認であるが、LASは領域全般型の測定手法であるという強みを有しているため、広範な能力領域の測定を可能にする。多様な能力領域を一貫して同じ測定手法で評価できることは、実務的に見ても大きな有用性を持つと言えるだろう。

LASは言語で表現されたものしか測定できないという限界を有しながらも、逆に言うと、言語で表現されたものであればどんな能力領域も測定することができるという特徴を持っている。LASは例えば、ある組織内の構成員が保持する多様な能力の成長度合いを測定することもできれば、測定結果に基づいて有益なトレーニングプログラムや学習カリキュラムを組み立てることもできる。

つまり、LASを活用する最大の恩恵は、知性や能力の成長段階を明らかにするだけではなく、知性や能力の成長プロセスを明確にし、そのプロセスに沿った成長支援プログラムを開発することが可能になるということである。

個人と組織のどちらにおいても、普遍的な成長プロセスがありながらも、成長の形と速度は個別的なのだ。そのため、時間と費用の問題を解決する必要があるが、LASのような領域全般型の測定手法を活用しながら、個人と組織の個別性を汲み取ったトレーニングプログラムを構築することができれば一番望ましい。

LASの実用性を語る上で忘れてはならないのが、「サイコグラフ(psychograph)」の作成である。ケン・ウィルバーのインテグラル理論でお馴染みのサイコグラフは、大きく分けると二つの種類が存在する。

一つ目は、多様な能力領域における現時点での成長度合いを示す「共時的サイコグラフ」と呼ばれるものだ。「共時的(synchronic)」という名称が示唆するように、このタイプのサイコグラフは、時間軸上のある一点における成長を捉えるスナップショットのようなものである。

それに対して、LASが描くサイコグラフは「通時的(diachronic)」と呼ばれる。通時的サイコグラフは、時間軸上のある一点における成長を捉えるのではなく、成長プロセスが可視化できるように複数の時点における成長を捉えていく。

要するに、共時的サイコグラフでは成長プロセスがわからず、ある特定時点における能力段階を示すことしかできないが、通時的サイコグラフは、ある特定時点における能力段階のみならず成長プロセスも示すことができるということである。

レクティカがFBIやCIAに測定サービスを提供していた時のことを思い出すと、通時的サイコグラフを描くために、LASは下記のようなプロセスで活用されていた。最初に、アセスメント被験者は、幾つかの異なる能力領域に焦点を当てた多面的な測定を受ける。実際のアセスメントでは、オープン形式の質問項目を中心に、各質問項目に対応した能力領域を測定していく。

例えば、「リーダーシップ能力」を測定したい場合、リーダーが職務において直面するであろうジレンマをどのように乗り越えていくのかという「意思決定能力」に焦点を当てた問いを設け、倫理的な課題に直面した時にどのようにそれを乗り越えていくのかという「倫理的推論能力」に焦点を当てた問いを設定していく。

上記のような多様な能力領域を測定するアセスメントを実施後、分析作業が始まる。LASは言語表現を分析していくものであり、特に言語表現で見られる深層構造に焦点を当てているため、その言語表現がどの知性段階から発せられたものなのかを特定することができる。多様な能力領域にLASを適用すると、その領域固有に独自の発達スコアを算出することが可能になる。

各々の能力領域は別々に分析されながらも、分析で用いられるのはLASという一つの共通の物差しであることが肝となる。つまり、一つの共通の物差しで複数の領域を測定できるが故に、多様な能力領域を比較することが可能になるのだ。

もし、共時的なサイコグラフを描くことが目的であれば、測定は一回のみで完結する。しかし、もし成長プロセスを明らかにする通時的なサイコグラフが必要であれば、測定を複数回行う必要がある。

私の経験上、LASは共通の物差しを兼ね備えているおかげで、サイコグラフを効率的に構築することができるという印象を持っている。さらに、一つの共通の物差しで多様な能力領域を測定することが可能であるため、多様な能力同士を比較することもできる。つまり、LASによる発達測定は効率的なアセスメントが実現できることに加え、アセスメント結果の解釈も行いやすいというメリットがある。

そして、何よりLASのような領域全般型のアセスメントを活用することによって、多様な能力領域の成長プロセスを把握することができ、成長プロセスに応じたトレーニングプログラムを構築することが可能になるということを強調しておきたい。

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