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202. 各人固有の成長プロセスに応じたテーラーメイドな成長支援の実現に向けて


これまで複数の記事にまたがって、私が在籍していたマサチューセッツ州のレクティカが創造したユニークな発達測定システム「LAS」について紹介してきた。認知的発達心理学の歴史における約一世紀に渡る研究成果をもとに、いかなる能力領域の発達を測定するための手法としてLASは生み出された。

この手法は一つの共通の物差しとして、特定の発話内容に囚われることなく、一つの能力領域に縛られることもない。つまり、この普遍的な測定手法は、発話内容から独立しており、結果として一つの能力領域のみを重視する「ライン絶対主義(キーガンなどの領域特定型の測定手法が陥りやすい罠)」に陥ることはないのである。

LASのような領域全般型の測定手法は非常に価値のあるものだとわかる。例えば、教育を例にとってみると、人間発達の洗練された理論モデルを採用することは、教育実践において極めて重要な役割を果たす。そうした理論モデルを構築するためには、信頼に値する測定手法が必要となる。

しかし、言うは易く行うは難しであり、ほとんどの理論モデルは、発達において視点取得能力が重要であるとか課題と支援が必要であるとか、極めて一般的な説明を与えることにとどまっているのが現状である。しかしながら、これまで見てきたLASは、そうした単なる一般的な説明を超えて、各人固有の詳細なサイコグラフを作成し、発達の次なるプロセスを可視化することによって、さらなる成長につなげていくことができるのだ。

同様のことが教育のみならず、企業社会の文脈においても当てはまる。人間発達に関する洗練された理論モデルによって、人財開発や人財育成はより効果的に実践されるだろう。欧米の企業社会に活用されてきた既存の発達測定手法の多くは、「あなたは発達段階4のリーダーである」「あなたは発達段階3.6の課長である」という単一のスコアを提示する場合がほとんどである。

しかし、LASを活用したリーダーシップ能力の測定手法は、「リーダーシップという領域において、あなたの問題認識能力は11.4であるが、視点取得能力は10.8であり、共同能力は11.6である」というように、その人が置かれている役職や文脈を加味したより詳細かつ洗練された測定結果を提示することができる。

既存の測定手法は、「段階3.8の課長になるためにもっと内省的になりましょう」というような実に一般的な提案しかできないのに対し、LASを活用したアセスメントでは、特定の能力領域の特徴を勘案し、その人の成長プロセスに応じたテーラーメイドの提案を実現することが可能となる。

さらに、教育や企業社会のみならず、人間発達に関する研究の世界においても、LASは大きな役割を果たすと思っている。領域全般的な測定手法は、多様な能力領域や発達構造の性質をより慎重に特徴付けることが可能になる。

例えば、インテグラルコミュニティーではお馴染みの「第二層の意識構造」という曖昧模糊とした言葉をより正確に定義することができる。さらに、第二層の意識構造をより正確に捉えるために、第二層の構造的特性と偶発的に見られる発話内容を的確に区別することも可能になる。

つまり、高次の意識構造を特徴付けると思われがちな言葉や装いの言語表現に囚われることがなくなり、第二層の意識構造を特徴付ける深層的な意識構造に焦点を当てることが可能になるのだ。

確かにLASは知性や能力の発達測定に多大な貢献を果たすと考えられるが、アセスメントの結果はその人そのものを表すのではなく、特定領域においてその人が発揮することのできるある特定の知性や能力の段階を表しているにすぎない、ということを肝に銘じておく必要がある。

さもなけれれば、「あの人は発達段階3」というような単なるレッテル貼り(ラベリング)が横行する事態——これは「ライン絶対主義」の最たる例である——になってしまうだろう。

また、LASは言語で表現されたものしか分析対象にできない点も考慮しておく必要がある。ただし、言語表現されたものであればいかなるものでも測定できるという特性上、例えば、法律の文書、新聞、政治声明、経営理念などにおける複雑性や抽象性を測定することも可能になる。

このように個人の知性発達以外にもLASを拡張適用することは十分可能であるが、今のところ、そうした研究はまだ存在していない。現在、LASが最も貢献している領域は、やはり個人の発達にあるということは紛れもない事実である。

単一ではなく多様な能力領域を測定し、個人の成長曲線に応じた教育的介入を実現するために、米国ではLASが教育分野や企業社会で積極的に活用され始めているのである。

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