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155. 認知レベルと情報量の関係


前回の記事で、認知レベルと次元の話を取り上げました。それに付随して、人間の認知レベル(思考次元)と扱える情報量には密接な関係があるという点も大事になります。

認知レベルの測定をしていると、興味深いことに、それまでの認知レベルでは使われなかったような言葉や語彙が出現します。例えば、「優れたリーダーとは?」という質問に対して、ある認知段階において「優れたリーダーとは、メンバーを楽しませてくれる人」という回答があり、それよりも上の認知段階になると、「優れたリーダーとは、組織に対する有能な奉仕者である」という回答に変化するとします。

この時に、「メンバーを楽しませてくれる人」と「有能な奉仕者」とでは、どちらの言葉の方が多くの情報量を含んでいるでしょうか?ハーバード大学教育大学院教授カート・フィッシャーをはじめとして、新ピアジェ派を中心とした認知的発達心理学者が述べているように、人間の知性が発達するという現象は、究極的には思考の抽象性と複雑性の増大プロセスです。

その点を考慮すると、「有能な奉仕者」という言葉は、「メンバーを楽しませてくれる人」という言葉に比べてより抽象的であり、「優れたリーダーとは?」という質問に対する思考がより発達していると言えます。

認知能力が発達すればするほど、思考の抽象性が高まり、抽象性が高まるということは扱える情報量が拡大することに他なりません。前回の記事と同様に次元の話と関連付けると、一次元のバーコードは横方向の情報しか持ちませんが、二次元のバーコードだと縦方向にも情報を持つことが可能になります。

そのため、二次元のバーコードは一次元のバーコードよりも多くの情報を扱うことができます。実際には、二次元のバーコードは、一次元のバーコードよりも数十倍から数百倍の情報量を扱えるそうです。

こうした次元の拡大と情報量の拡張との関係は、まさに思考の次元においても当てはまります。上記の例で言えば、「有能な奉仕者」という抽象的な言葉には、当然ながらメンバーを楽しませるという具体的な側面が含まれているでしょう。

しかし、逆に「メンバーを楽しませてくれる人」という言葉には、「有能な奉仕者」という言葉が内包する「所属企業に対して貢献する者」「地域社会に貢献する者」「部下や上司に対して貢献する者」といった意味は含まれていないでしょう。

そのため、「有能な奉仕者」という言葉の方が「メンバーを楽しませる人」という言葉よりも情報量が多く、抽象度合いが高いと言えます。そこから、「有能な奉仕者」という単語を駆使して意味を構築した人の方が、思考次元が高いと言えます。

私が在籍していたマサチューセッツ州にあるレクティカという組織が提供していた発達測定手法では、文章の論理構造のみならず、一つ一つの文に含まれる単語の抽象性も分析していました。その理由は、上記で述べてきたように、認知レベルと扱える情報量が密接に結びついているからです。

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