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109. アトラクター状態を乗り越えるための学習の重要性


前回の記事で、アトラクターは、個人の思考や行動を制限し、組織の活動をも制限するということを指摘しました。ここでもアトラクターという現象が、単純に「害悪なるもの」とみなされてしまうかもしれません。しかし、実際は、どんな個人も必ずアトラクター状態を経験している、あるいは常にある種のアトラクター状態にいると言えます。

要するに、アトラクターとは否定的なものでも肯定的なものでもなく、ある意味中立的なものであり、私たちは身体的・心理的に何らかのアトラクター状態にいることによって適切な状態を保っていると言えます。どういった種類のアトラクター状態にいるのかということと、そのアトラクターとどのように向き合っているかということが問題となります。

これまでは細部に囚われすぎないように、「アトラクター」と一括りの言葉で表現していましたが、実際にはアトラクターは幾つもの種類を持ちます。例えば、以前の記事で紹介した「ポイントアトラクター」「リミットサイクル」「ストレンジアトラクター」などが代表的なアトラクターです。

以前の記事で議論となっていたのは、ロー・パフォーマンス組織の会議における発話パターンは、ポイントアトラクターを示し、ハイ・パフォーマンス組織はストレンジアトラクター(カオスパターン)を示すということでした。ポイントアトラクターのイメージは、システムの運動がある点に収束する静的なものです。

一方、ストレンジアトラクターは、システムの運動がダイナミックにおこなわれ、ある点に収束することはないという動的なものです。

つまり、個人がどのアトラクター状態にいるかによって、それは思考や行動を制限するものである可能性もあれば、思考や活動を推し進める原動力となる可能性もあるのです。

さらに、アトラクターとの向き合い方に関して、私たちは常に何かしらのアトラクター状態を経験しており(例えば、現在の発達段階は、まさにその人の心の発達におけるアトラクターでしょう)、さらなる発達を遂げるためには、現在のアトラクター状態から抜け出す試みをおこなわなければなりません。

ここで、マーシャル・ロサダは、現在のアトラクター状態を抜け出すための解決策として「学習」あるいは「組織ラーニング」の重要性を指摘しています。私たちは、継続的な学習や鍛錬をおこなうことによって、現在のアトラクターから脱却することができ、思考や行動の枠組みを押し広げることができます。

私たちは、一つのアトラクター状態から脱却したとしても、その瞬間に新たなアトラクター状態に直面することになります。永続的に発達を遂げていくために大切なことは、新たなアトラクター状態に直面したとしても、そこで歩みを止めることなく、学習と実践を絶え間なく継続させていくことです。

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