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107. カオス的パターンと健康状態の興味深い関係性


皆さんは、カオス(混沌)という言葉にどのような印象を持つでしょうか?カオスという言葉は、どこか否定的なニュアンスを持っていると受け止められるかもしれません。今回の記事は、カオス的パターンと私たちの健康状態に関する興味深い関係について紹介したいと思います。

アムステルダム大学でグローバルヘルスの研究をおこなっているロバート・プールは、「カオスは、私たちの心臓、脳、そして身体の他の部分に対して、健全な柔軟性をもたらすかもしれない」と述べています。直感に反して、多くの病気は、カオス的な柔軟性を欠いた結果として生じるということをロバート・プールは指摘しています。

私たちの健康状態をダイナミックシステム理論の観点から研究しているのは、ロバート・プールのみならず、例えばハーバード大学医学部教授のアリー・ゴールドバーガーなど挙げられます。

ゴールドバーガーは、健康と病気の関係性について興味深い発見事項を得ました。その研究結果が示唆しているのは、私たちの病気は「複雑性が欠如した状態」によってもたらされるということです。

例えば、健全な心拍数は、カオス的なパターンを持っているのに対し、心不全を患う患者の心拍数を調べると、カオス的ではなく周期的なパターンを見せるという現象があります。

ゴールドバーガーは、自身の発見事項を「臨床のパラドクス」と呼んでいます。これが意味するのは、病気のプロセスそれ自体は確かに「不調和(不規則)」であるが、多くの病気は規則的かつ予測可能なパターンを持つ状態から生じるということです。自閉症を持つ人は、高度に規則的な行動パターンを持っているというのも一例です。

結論として、私たちの身体が健全な状態を維持するためには、ある一定量の内的な可変性が必要であるということです。もし可変性が失われ、そこに規則的なパターンしか存在しないのであれば、それは何かしらの病理を生み出してしまう危険性があります。これは身体の健康だけに当てはまる現象ではなく、心の健康にも当てはまる現象だと思います。

ここで述べている「可変性のある健康状態」とは、何も乱雑なパターンのみによって生み出されるという意味ではありません。それは、一方に秩序を携え、もう一方に混沌を携えたものなのです。秩序と混沌のどちらも必要であり、結果としてカオスはシステムに対して、刻一刻と変化する環境に適応するための柔軟性をもたらしてくれるのです。

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