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106.認知・身体を駆動させる感情:ハイ・パフォーマンス組織における感情空間


これまで紹介してきたチリの組織心理学者マーシャル・ロサダの発見事項に関して、「そもそもなぜ、カオス的な発話パターンと組織のハイ・パフォーマンスが結びつくのか?」という疑問があると思います。この問いに対する答えは様々なものが考えられますが、大きな理由としては、私たち自身の脳や心がそもそも動的に活動しているものであり、さらに私たちを取り巻く環境や文脈も常に動的に動いているからだと考えられます。

要するに、私たちと私たちを取り巻く環境や文脈が動的に変化するものである以上、動的な運動パターンは健全なものであり、運動が静的なものになってしまえば、刻一刻と変化する私たちと私たちを取り巻く環境や文脈と適合しない状態に陥ってしまう可能性があるということです。

人間の脳や心が本質的に動的なものであり、それらの動的なシステムから生まれた発話が静的なパターンを示すのであれば、そうした静的なパターンは、人間本来の動的な側面を正しく反映していない可能性があります。その結果として、静的な発話パターンは、組織におけるロー・パフォーマンスと結びつくことになったと考えることができます。

もちろん、動的に変化する人間にも均衡状態は存在します。そうした均衡状態は、私たちに安定性をもたらすというのは事実です。例えば、私たちの体温を例にとると、私たちはどれほど暑い環境にいようと、あるいは寒い環境にいようと、体温を一定に保つ恒常性維持機能というものが備わっています。この恒常性維持機能によって、私たちは環境の変化(気温の変化)に圧倒されることなく、活動に従事することができます。

しかし、脳神経学者のウォルター・ジャクソン・フリーマンが「私たち人間に備わるカオス的な側面は、刻一刻と変化する外界に対して柔軟に適応する能力であり、さらには新たな活動パターンを生み出す能力でもある」と述べているように、カオス的な発話パターンというのは、ある意味、創造性の源でもあるのです。そのため、会議におけるカオス的な発話パターンと組織のハイ・パフォーマンスが密接に結びついていると考えられます。

さらに他の理由として、カオス的な発話パターンは、豊かな感情空間を生み出すことが挙げられます。カート・フィッシャーが指摘しているように、私たちの認知・身体・感情は相互依存関係にあります。つまり、私たちが何かしらの活動に従事する時、私たちの感情は、認知と身体を駆動させる力として働きます。

仮に、認知と身体を駆動させる感情が上手く働いていない場合、私たちの認知や身体から生み出されるアイデアやアクションの質は高いものではなくなってしまうでしょう。要するに、会議の場において、狭い感情空間しか醸成できない対話は、参加者の認知と身体を制限することにつながり、そこでは創造的なアイデアやプランは生まれにくいと考えられます。

ダイナミックシステム理論を活用した近年の研究において、学習の位相空間における認知・感情・活動の関係性に関する興味深い研究成果が多数生み出されているということを最後に付け加えたいと思います。

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