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105. 感情空間分析による男女の関係性維持度合い


前回の記事で、ハイ・パフォーマンス組織は、開かれた感情・思考空間を醸成しており、動的な対話が生まれ、創造的なアイデアやプランが生まれやすいという研究成果を紹介しました。この研究では、特に発話の「肯定/否定割合」に着目していました。

発話の「肯定/否定割合」とは、会議の発話の中で「支援」「賞賛」「奨励」などの肯定的なニュアンスを持つ言葉がどれだけ用いられているか、「不賛同」「皮肉」「冷笑」などの否定的なニュアンスを持つ言葉がどれだけ用いられているかの割合のことを指します。

発話の「肯定/否定割合」を用いた研究の歴史を遡ってみると、元ハーバード大学教授ロバート・ベイルズの研究に行き着きます。ベイルズは米国の社会心理学者であり、特に小規模のグループにおける相互作用に着目した研究をおこなっていました。

ベイルズの対話分析手法を拡張させ、夫婦関係や結婚生活の安定性の研究で著名なジョン・ゴットマンは、発話の「肯定/否定割合」を基に、カップルの関係性維持度合いの研究をおこないました。

彼が得た発見事項は、発話の「肯定/否定割合」が低ければ、つまり否定的なニュアンスを持つ言葉がカップル間で多用されている場合、その関係は長続きしないであろうということです。

こうした研究結果を見てみると、感情が私たちの行動や関係性に与える影響を再認識することができます。ハイ・パフォーマンス組織が開かれた会議の場を持っていたのと同様に、対人関係において、肯定的な言葉は開かれた感情空間を生み出します。逆に、ロー・パフォーマンス組織が閉じられた会議の場を持っていたのと同様に、否定的な言葉は閉じられた感情空間を生み出してしまいます。

しかし、時には否定的なニュアンスの言葉を用いることがあるでしょうし、肯定的なニュアンスの言葉だけを用いてコミュニケーションを図るのは現実的ではありません。興味深いことに、「肯定/否定割合」の最適な比率というものが存在します。

前回の記事で登場したマーシャル・ロサダの研究によると、最適な比率は「肯定:否定=3:1」とのことです。「3:1」の比率を持つ組織はハイ・パフォーマンスを示し、極端な比率、例えば「12:1」の場合では、高いパフォーマンスを示すことはないということを指摘しています。

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