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89. ソフトウェア学習プロセスに見られるカート・フィッシャーのスキルレベルの発達


前回の記事は、カート・フィッシャーのスキルレベルを用いると、科学分野の電磁石に対する理解度がどのように発達していくのかを紹介しました。今回の記事は、アルバニー大学助教授チェン・ヤンとカート・フィッシャーの共同研究である、30人の大学院生(修士課程および博士課程)を対象とした、SASという統計ソフトのスキル獲得プロセスについて紹介したいと思います。

感覚運動システム段階(11ヶ月から13ヶ月の幼児において初めて見られる発達段階)

まず、興味深いのは、大学院生であったとしても、これから初めて習得しようとする新たなスキルに関して、幼児と同じスキル段階から学習をスタートさせる点です。最初は、感覚運動システム段階と呼ばれる発達段階で、これは一般的に11ヶ月から13ヶ月の幼児において初めて見られます。

この段階において、被験者は、スクリーンで表示される内容に応じて、キーボード上の様々なキーを叩くことができます。この段階は、SASスキル獲得の最も初期段階であり、被験者はいわば単なるタイピングスキルを獲得しただけであると言えます。

単一表象段階(およそ2歳において初めて見られる発達段階)

この段階において、被験者は、二つの単純なシステム(あるキーをタイピングすることとリクエストの実行)を結合させることができます。これによって、SASソフトに対して基本的な実行命令を下すことができます。例えば、「SASファイルを変えたいため、『$』マークの後に『EDIT』とタイプしよう」などというアクションが可能になります。

表象配置段階(およそ3歳半から4歳半において初めて見られる発達段階)

この段階では、被験者は、完全な実行命令(SASプログラミングにおける基本的な命令単位)を生み出すために、特定のSASファイルとVMSコマンドを結合させることができます。例えば、システムから通知を受け、「EDIT ASSIGN.LOG」とタイプすることは、被験者は「EDIT」という一つのシステムコマンドとSASファイルを結合させることができるということを示しています。

表象システム段階(およそ6歳から7歳において初めて見られる発達段階)

この段階において、被験者は文脈に応じて、様々なシステムコマンドと複数のSASファイルを結合させることができます。例えば、被験者は、「DIR」コマンドはSASファイルが不要であり、「EDIT」コマンドは一つのSASファイルが必要であり、「COPY」コマンドは二つのSASファイルを必要とすることなどを理解できます。

より具体的には、被験者は「EDIT ASSIGN2.DAT」とタイプし、その後素早く「EDIT ASSIGN2.SAS」とタイプすることができ、これは二つの実行命令を組み合わせていることを示しています。

単一抽象段階(およそ10歳から12歳において初めて見られる発達段階)

この段階では、被験者は、オペレーションシステムとアプリケーションの間に存在する階層構造を理解するために、「VMS-SAS」システムとコンピュータの概念体系という二つのシステムを結合させることができます。結果として、様々なVMSコマンドを構築することと異なるSASファイルを作成することを速やかにおこなうことができます。

抽象配置段階(およそ14歳から16歳において初めて見られる発達段階)

この段階において、被験者は、「VMS-SAS」システムと「EVE-SAS」システムを結合させることができ、二つのシステムに対する深い理解を獲得しています。結果として、複数のシステム間を柔軟に行き来し、両者のシステムに含まれる様々なコマンドを創造的に活用することができます。

例えば、COMファイルを読み込んだ後に、ほとんどの被験者であればファイルをいったん閉じてしまうところを、プログラミングの知識を持った被験者であれば、「CTRL」キーと「Z」キーを押して、別のCOMファイルを開くために、「OPEN ASSIGN4.COM」とタイプすることができます。

これは実に創造的な方法で、一つのシステムから別のシステム間を行き来しており、被験者は「VMS」「SAS」「EVE」などのシステムについて深い理解を基にした高度なスキルを獲得していることを示しています。

質問・コメント・記事の共有をご自由にしていただければ幸いです。

(注)

この研究では、さらに高次なスキルレベルである「抽象システム段階(およそ18歳から20歳にかけて初めて見られる発達段階)」や「原理・法則段階」は見られず、SASソフトスキルの獲得プロセスにおいて、それら二つの段階に関する記述は省略されています。

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