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87.ダイナミックシステム理論と発達論的システム理論との共通点・相違点


これまでの記事で紹介してきたように、ダイナミックシステム理論は、発達研究に新たな視点を提供し、ある種の革命を起こしたと言えます。ダイナミックシステム理論は、生涯をかけておこなわれる発達現象において、何が変化するのかを特定するというよりも、どのように発達が進められるのかというプロセスに焦点を当てています。

既存の発達モデルは、発達現象を説明するための単純な因果関係を発見することに躍起になっていました。しかし、発達という現象は、多くの要素からなる複雑なシステムの中で生じるものであり、そのような単純な因果関係モデルは、説明の限界に直面していました。

こうした単純な因果関係モデルを超えて、ダイナミックシステム理論は、発達現象を説明する様々な学問領域を包摂したメタ理論として誕生しました。具体例としては、発達論的システム理論、生態学的心理学、結合主義(コネクショニズム)などです。

中でも、ダイナミックシステム理論と発達論的システム理論が混同しやすいので、今回の記事は、両者の誕生背景と焦点について紹介したいと思います。まず、発達論的システム理論は、行動学的・生物学的発達に焦点を当てていました。

具体的には、遺伝子から環境要因を含め、多様な因果関係に基づいて、どのように発達現象が発生するのかを解き明かそうとしていました。それに対して、ダイナミックシステム理論は、複雑なシステムを分析する数学モデルから誕生しました。

実際に、こうした数学的・統計学的アプローチを基にして、これまでの発達研究で欠けていた、妥当性の高い実証研究ツールが数多く誕生しました。

要約すると、発達論的システム理論は、行動的・生物学的な進化発達を特定することに端を発しており、一方ダイナミックシステム理論は、システムという概念を数学的に特定することを起源として誕生しました。

ここで大切なことは、どちらのアプローチも、例えば「育ちか氏か」という伝統的な二文法的発達観を否定するものであるということです。単純に述べると、発達論的システム理論もダイナミックシステム理論も、生命体を文脈において捉え、外的な要因と生命体の行動を切り離すことは不可能であるとしています。

さらに両者の共通点として、行動や発達という現象は、システム内の多様な構成要素が相互に影響を与えることによって生じる、創発性・創造性の産物であると捉えている点が挙げられます。

このように、発達論的システム理論とダイナミックシステム理論は、元々の探求の焦点が違えど、「育ちか氏か」「言語モジュール(チョムスキー)」「区分的発達段階モデル(ピアジェ)」という二文法的な発達思想を否定している点で共通しています。

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