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82. モンテッソーリ教育の誕生背景と概観


今回の記事は、簡単にモンテッソーリ教育の誕生背景とその根幹思想について紹介したいと思います。モンテッソーリ教育と聞くと、日本では早期教育あるいは英才教育の一種として受け取られている印象があります。

例えば、アマゾンの創設者ジェフ・ベゾスやグーグルの創設者サーゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、経営学者のピター・ドラッカーなど、数多くの著名人が幼少期にモンテッソーリ教育を享受していたため、確かにアメリカにおいても、早期教育や英才教育という印象を持たれている方は多いと思います。

しかし、モンテッソーリ教育の誕生背景や根幹思想を見ると、様相は幾分異なります。まず、モンテッソーリ教育は、1900年代前半に、イタリアの教育者かつ医者であるマリア・モンテッソーリによって創始されました。

モンテッソーリ教育は、身体感覚的な教育プログラムに基づいており、具体的な物体を操作しながら感覚器官を通じて、子供たちは自分のペースで学習を重ねていくという思想が根付いています。こうした思想が生まれた背景には、モンテッソーリ自身がローマ大学に在籍していた頃、数多くの障害児に教育を提供していたという経験があります。

障害児への特別な教育プログラムの提供を通じて、モンテッソーリは、子供たち一人一人の成長段階に合わせた、身体感覚的な教育プログラムを広く様々な子供たちに提供するようになりました。ここで有名なのが、1907年に始めて設立したモンテッソーリスクール「子供の家」です。

この学校は、ローマの貧困地域に設立され、現在の早期教育や英才教育との印象とは異なり、貧困に喘ぐ子供たちに教育を提供することからモンテッソーリ教育は始まりました。設立当初から一貫して、その教育プログラムには、身体を通じた学習という思想があります。

モンテッソーリは、思考を鍛錬することに先立ち、まず身体感覚を養う必要があるという信念を持っていました。この信念は、発達理論の観点から見ても妥当性があります。というのも、ピアジェを始め、多くの発達心理学者が指摘するように、人間は思考に先立って、身体感覚的な知性を発達させるからです。

また、モンテッソーリ教育においてもう一つ興味深い特徴は、タスクベースの教育プログラムが組まれていることです。具体的には、子供の発達度合いや学習の習熟度合いに応じて、徐々により高次元のタスクを子供たちに与えていきます。

実際のところ、どれだけ正確にタスクレベルが細分化されているのかは不明ですが、タスクベース教育の根幹には、子供たちは一つのタスクを克服し、それを極めていくことを内在的に動機づけられて学習を進めていくという考え方があります。

子供の発達段階に応じて学習コンテンツを提供するという考え方は、教育の介入手法において極めて大切であるため、タスクの複雑性分析に長けているカート・フィッシャーのダイナミックスキル理論やマイケル・コモンズの階層複雑性分析などを通じて、モンテッソーリ教育のプログラムと子供たちの実際の発達段階がどれほど適切に対応しているのかを調査することは、一つの研究テーマとなりそうです。 質問・コメント・記事の共有をご自由にしていただければ幸いです。

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