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72. カート・フィッシャーの発達モデル:発達要因と発達のメカニズム


これまでフィッシャーの理論の大枠を紹介してきましたが、実際のところ、フィッシャーの発達モデルは、他の新ピアジェ派の理論と多くの点で異なります。主な相違点は、認知的な発達を説明する方法にあります。

もちろんフィッシャーは、発達における情報処理的側面を否定しているわけではありませんが、フィッシャーは、発達要因として、情報処理能力などの個人的な要因よりも環境的・社会的な要因を強調しています。

フィッシャーは、認知的発達プロセスを説明する際に、ヴィゴツキーの「内面化」と「近接発達領域」という二つの概念を用いています。内面化というのは、端的に述べると、観察した現象を自分が理解・咀嚼できる形で思考空間の中に取り入れるプロセスのことを指します。フィッシャーの理論では、内面化は新たなスキルや概念を統合するために不可欠なプロセスであるとしています。

さらに、近接発達領域という用語は、ヴィゴツキーの代表的な概念です。この概念は、私たちは何か現象を理解したり、課題を解決する際に、実際に発揮できる能力と潜在的な能力が異なるという意味であり、私たちはどちらの能力も常に兼ね備えています。つまり、近接発達領域とは、実際に発揮できる能力と潜在的能力の範囲を示す概念です。

フィッシャーは、社会的な相互作用、他者からの支援、内面化を通じて、私たちは新たなスキルや概念を徐々に獲得し、潜在的な能力が実際に発揮できる能力へと変容していくことを指摘しています。

またフィッシャーは、発達の中に固定的ではなく可変的な特性を認め、異なる領域において異なるスキルが顕在化する点を指摘し、ピアジェが例外と認めたそれらの特性を原則的なものとみなしました。発達の中の可変性は、個人の経験の差異や置かれている文脈の差異、そしてどのような支援を受けているかという差異に起因します。 質問・コメント・記事の共有をご自由にしていただければ幸いです。

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