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70. 新ピアジェ派の発達思想:カート・フィッシャーの発達理論


これまでの記事で、新ピアジェ派の代表的な人物3名の発達理論を概観してきました。パスカル・レオン、ロビー・ケース、グレイム・ハルフォードの発達理論は、情報処理モデルと強く結びついている点が特徴的でした。

新ピアジェ派の4人目の人物として、次に紹介したいのがハーバード大学教育大学院教授カート・フィッシャーです。フィッシャーの理論における分析対象は、上記3名が探求していた情報処理能力ではなく、「スキル」です。

「スキル」という概念は、伝統的な学習理論から生み出されたものであり、情報処理モデルから生み出されたものではありません。フィッシャーがスキルという言葉を生み出した背景には、人間の心と身体は環境や文脈と分け難く強固に結びついているという思想があります。

それゆえに、フィッシャーはスキルという言葉を、その人それ自体や環境それ自体の特徴を表すものとして使用するのではなく、「ある特定の文脈におけるある個人の特徴」を表すものとして用いています。

そのため、この定義に従うと、個人の変化や環境の変化は、スキルの変化を表します。この点を鑑みると、パスカル・レオン、ロビー・ケース、グレイム・ハルフォードなどの理論が提唱していた段階モデルと違い、異なる発達段階で構築される複雑なスキルというものは、文脈に応じて変化するという特性上、単純な段階モデルでは特定することができないと言えます。

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