Recent Posts

62. 新たな測定手法開発の際に考慮するべき点:レクティカでのインターンを回顧して


セオ・ドーソンが設立した発達・学習測定サービス提供機関レクティカ(米国マサチューセッツ州に拠点を置く)でのインターンも無事に終了し、そこで得た学びをこれまでほとんど共有していなかったため、これから少しずつ話せる範囲でシェアをしていきたいと思います。

レクティカは、リーダーシップ能力に特化した測定手法や内省能力に特化した測定手法などを含め、様々な発達測定サービスを提供しています。これまでレクティカは、FBIやCIAを含めアメリカ国家安全保障局などと協働して、学習・発達測定手法を構築してきたという経験を基に、現在も様々な発達領域に焦点を当てた測定手法を開発しています。

私がインターンとして在籍していた時は、基本的に測定・分析作業に特化しており、残念ながら新たな測定手法の開発に携わることはできませんでした。新しい測定手法の開発プロジェクトには参画できませんでしたが、セオ・ドーソンと毎週メンタリングを兼ねた一対一の電話会議があり、そこで新たな測定手法開発の話について頻繁に質問をしていました。

上記の通り、私は主にデータを測定・分析することに焦点を当てていたのですが、そこで基礎的なプログラミングスキルを身につけることができたり、統計学の基本的な概念を学び直す機会に恵まれました。しかし、ドーソンと新たな測定手法を開発する話をするたびに、測定手法の開発には、実に高度な統計的知識が要求されることを痛感していました。

ここでは、統計学の難解な概念の話を横に置き、発達理論の観点から、測定手法を開発する際に留意すべき点を二つほど紹介したいと思います。

まず一つ目は、発達測定手法は発達の速度を計測できる必要があります。発達の形が線形的であろうと非線形的であろうと、私たちの発達は、時間の枠組みの中で捉えることができる現象であるため、発達の速度を計測する必要があります。

これを言い換えると、発達測定をある人に一度きり適用すればいいということではなく、その人の発達史に沿って、定期的あるいは頻繁に測定をおこなう必要があります。さもなければ、その人の発達の形を捉えることができず、その人固有の発達特性を認識することができなくなります。

インターンで見てきた多くのケースにおいて、ひとたび発達測定を受けた人は、その後およそ3ヶ月に一度ぐらいのスパンで測定を受け直していました。よりミクロな観点から発達の形を捉えるのであれば、より測定の頻度を高める必要がありますが、ドーソンが開発したLASモデルの段階表記において、成人が継続的な学習と発達へ向けた試みをおこなった結果として、0.25段階発達するのに早くて3ヶ月の時間を要します。

つまり、これは精密な調査ではなく私の経験則ですが、LASモデルにおいて、成人がある文脈における次のスキル段階へ到達するには、継続的な学習をおこなうことを最低条件として、早くても1年以上の時間がかかります。

一点目を要約すると、その人固有の発達の形を適切に捉えるために、測定をある程度の間隔で繰り返し実施する必要があり、そのためには時間と労力の観点から、繰り返し測定を実施できるだけの利便性を兼ね備えた測定手法を開発する必要があります。

二つ目の点は、開発する測定手法の中に、複数のタスクを織り込む必要があります。どうしてかというと、前回の記事で紹介したように、私たちは与えられたタスクや文脈によって異なるスキルレベルを発揮するからです。そのため、測定の目的に合致したタスクを複数個織り込まなければ、その人の可変的なスキルレベルを明らかにすることができなくなります。

レクティカの発達測定手法の多くは文章記述型であり、それらの測定の中で複数個のタスクをどのように織り込んでいるかというと、様々な状況を想定したケースを用意し、その状況の中で要求される様々なタスクについて質問を投げかけ、測定を受ける者はそれらの問いに回答をしていきます。

以上、新たな測定手法を開発する際に考慮しなければならない最低限のことがらは、上記で説明してきた、発達の速度と様々なタスクを織り込むことです。

質問・コメント・記事の共有をご自由にしていただければ幸いです。

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)