Recent Posts

59. 発達という動的な運動:年齢と発達段階との関係性

July 9, 2014

心の発達を静的なものとみなす静的構造主義の限界を超克するために、新たな発達理論の枠組みが求められていることをこれまで述べてきました。過去の発達研究は、静的な構造思想の下、あるスキルや概念が獲得される年齢を画一的に決定づけようとしたり、心の発達を線形的な分析モデルの範疇に還元しようとしていました。

 

繰り返しになりますが、発達が持つ可変性に光を当て、可変性に生起する秩序(規則)を発見することが現在の発達研究に突きつけられている一つの課題です。こうした課題を克服するためには、動的な発達思想に基づいた理論的枠組みと分析手法が不可欠になります。

 

人間の活動はそもそも動的なものであり、さらに高度な発達段階へ到達する際に、下位の発達構造と高次の発達段階を差異化し、統合化します。また刻一刻と変動する文脈に適応するために、私たちは実にダイナミックに思考や感情を生み出します。

 

そうした動的な思考や感情を生み出すのが、まさに発達構造です。いわば発達構造は、社会的・文化的な文脈に組み込まれた私たちの存在を瞬間瞬間に変動させ、規定するものであり、さらに個人の発達構造は他者の発達構造と相互に影響を与え合うという特性を持っています。

 

もう一つ心の発達に関して忘れてはならないのは、発達の形(プロセス)は多種多様であるということです。幾人かの研究者は、連続的な発達プロセスを提唱していますし、また他の研究者は、不連続的な発達プロセスを提唱しています。

 

結論から述べると、両者の主張はどちらも正しく、発達の形は連続的かつ不連続的なプロセスです。ピアジェを含めて、これまで多くの研究者が、年齢と発達段階を関係づける研究を行ってきました。

 

しかし実際のところ、年齢と発達段階は一対一で結びついているわけではありません。それどころか、ひとたび測定の状況やタスクを変えたり、その時の感情状態が異なれば、私たちは実に様々な発達段階のパフォーマンスレベルを発揮することが明らかになっています。

 

つまり、私たち個人の発達史において、固定的な里程標などは存在しません。そこに存在するのは、発達段階の浮き沈みという実に動的な運動です。

質問・コメント・記事の共有をご自由にしていただければ幸いです。

Please reload

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

Please reload

Recent Posts
Please reload

© 2013 All rights reserved by Yohei Kato

 

免責事項:当サイトを利用したウェブサイトの閲覧や情報収集については、情報がユーザーの需要に適合するものか否か、情報の保存や複製その他ユーザーによる任意の利用方法により必要な法的権利を有しているか否か、著作権、秘密保持、名誉毀損、品位保持および輸出に関する法規その他法令上の義務に従うことなど、ユーザーご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

 

当サイトの御利用につき、何らかのトラブルや損失・損害等につきましては一切責任を問わないものとします。当サイトが紹介しているウェブサイトやソフトウェアの合法性、正確性、道徳性、最新性、適切性、著作権の許諾や有無など、その内容については一切の保証を致しかねます。当サイトからリンクやバナーなどによって他のサイトに移動された場合、移動先サイトで提供される情報、サービス等について一切の責任を負いません。当サイト内には、他の著作物から引用し、文章を作成している記事がございます。万が一、著作権に抵触する場合にはお知らせください。速やかに対処させていただきます。