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3625. 作曲上の異質性:体現されたインテグラル理論を捉え直す試みの始まり


時刻は午前八時に近づき、空がダークブルーに変わり始めた。気がつかないうちに、最も日照時間の短い時期が過ぎ、再び日の出の時間が早くなり始めているようだ。

もちろん、午前八時の段階ではほぼ真っ暗だと言えるが、それでも以前よりは、空がダークブルーに変わるのが早くなっている。これまでよりも数十分ほど早いのではないかと思う。

これから、モーツァルトの変奏曲に範を求めて作曲をする。数日前にこれから参考にする曲の楽譜を眺めた時、構造としては複雑ではないのだが、それを参考にすることを一瞬敬遠してしまうような感覚が生まれた。

その感覚の正体を探ってみると、モーツァルトのように、めまぐるしく短い音と長い音を活用していくことに躊躇する気持ちがあるようだ。なぜそれに躊躇しているのかというと、自分の中には、平穏な波を期待するような心が絶えずあるからかもしれない。

いずれにせよ、今の自分の感覚にとって異質なものを積極的に取り入れていくことにする。それは人間発達の要諦の一つであり、作曲技術の向上においてもまさに当てはまる事柄だ。

その曲にはトリルが随所に、しかも連続して何度も活用されている。トリルという演奏技法を初めて知ったのは、バッハの曲を参考にした時だったと思うが、当時はこの技法をどのように自分の曲の中に活用していけばいいのかの皆目見当がつかなかった。

今でもトリルの使いどころと使い方は悩むため、そうしたことも、これから参考にしようとしている曲に対して躊躇させたのかもしれない。いずれにせよ、そうした躊躇の気持ちを引き起こさせるものこそが、今の自分の作曲技術にとって異質な存在なのだから、それと向き合うことを通じて技術を磨いていく必要がある。

「すでにこの曲のパターンは見たことがある」という既視感だけを引き起こす曲をいくら参考にしていても、自分の作曲技術は高まっていかないだろう。自分にとって未知なパターンを持つ曲を積極的に参考にしていくようにする。

それを愚直に続ける中で、絶えず新たな学びを得、無数の実験を自らに課していくことが、いつか自由自在に曲を書ける境地に自分を至らせてくれるだろう。

日記を書き留めているわずか数分間の間にも、空の色が変化していることに気づいた。見ると、東の空がゆっくりとだが確実に明けてきているのがわかる。近くで小鳥が「ピピッ」と鳴く声が聞こえた。

相変わらず、絶えず様々な思念が自分の中に浮かんでくる。書ける範囲の事柄、そして書かれることを望まれる事柄は全て文章の形にしていく。

現在監訳中のウィルバーの書籍の翻訳を、毎日一章ずつレビューしていることはこれまで述べてきた。ウィルバーが提唱したインテグラル理論は自分の中ですでに無意識的なOSとして機能しているためか、ここ数年間、インテグラル理論について何か考えることや日記の中で言及することはあまりなかったように思う。

インテグラル理論をテーマにしたことを考えることはおろか、ここ数年間は、ウィルバーの書籍に関しても、八年前から六年前にかけてジョン・エフ・ケネディ大学に留学していた時ほどには熱心に読んでいないように思う。とはいえ、“The Religion of Tomorrow (2017)”をはじめとして、近年に出版された書籍には一応目を通していたことは確かである。

“Integral Meditation: Mindfulness as a Way to Grow Up, Wake Up, and Show Up in Your Life (2015)”という書籍が2015年に出版された時、それが単なる自己啓発書に過ぎないと思って購入を控えていたのだが、偶然にも、昨年の九月にボストンを訪れ、街の古書店に足を運んだ時に、その書籍があった。

そこは確かに古書店なのだが、古書だけを扱っているわけではなく、新品の書籍も扱っており、ウィルバーのその書籍は新品だった。それは出版から三年ほど敬遠していた書籍だったのが、中身を確認してみると、随分と面白いことに気づいたのである。

特に、第三層の高次の発達段階について、ウィルバーはこれまで以上に説明を加えており、その点が興味深く思えた。もちろん、それらの段階特性については、“The Religion of Tomorrow (2017)”でより詳しく解説されていることをその時知っていながらも、ボストンのその古書店でその書籍を購入したことをふと思い出した。

その時はまだ、ウィルバーの書籍の監訳の話が正式には来ておらず、その翌月あたりに監訳の話が正式に来たのではないかと思う。これも何かの偶然であり、縁なのだろう。

こうした縁のおかげで監訳を引き受けてみると、自分の中で不思議な現象が起こっている。それは、すでに自分の中に体現されているインテグラル理論をもう一度捉え直そうとするような運動が自分の中で起こり始めているというものだ。

この機会に、自分の内側にあるインテグラル理論を再度捉え直す試みに従事したいと思う。フローニンゲン:2019/1/3(木)08:24

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