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3633. インテグラル理論を紹介するにあたって


時刻は午後の二時半を過ぎた。昨日は太陽の光をふんだんに浴びることができたが、そこから一転して、今日は曇り空である。明日以降もまた天気が崩れるらしい。

今朝もここ数日間に引き続き、ケン・ウィルバーの書籍の監訳の仕事に従事していた。その仕事は順調に進んでいる。

監訳者として有り難いのは、翻訳者の知人の方が素晴らしい翻訳をしてくれており、こちらから指摘することがほとんどないということだ。もちろん、言葉のニュアンスや、読者にとってより読みやすい文章にしていくための指摘はしているが、それらの数はそれほど多くない。

本書は全七章で構成されており、今日は第六章のレビューを終える予定のため、レビューもあと少しだと思っていた。しかし、ウィルバーの書籍は注記が充実しているものが多く、本書もまた例外ではなかった。

レビューを開始した時の私は、すっかり注記の存在を忘れていたのである。第七章に関する注記はないようであるが、それでも注記の分量はかなりのものになるため、注記をレビューすることに二日の時間を充てようと思った。

明日は他の仕事が入っているため、もしかしたら最終章のレビューは日曜日に回すかもしれないが、注記を含めて全てのレビューが完成するのは、来週の月曜日ないしは火曜日になるだろう。

先ほど、仮眠を取っている最中に、不思議なビジョンを見ていた。それは明瞭なビジョンというよりも、思念の渦のような視覚現象だった。

端的には、現代社会の有り様についてビジョンを通じて考えていたようなのだ。より正確には、私は何も考えておらず、ビジョンが何かを考えていたようだった——この表現が伝わるのか定かではないが、最も正確に表現すればそうなる。

昨夜の日記で書き留めていたように、知人であるインテグラル・ジャパンの鈴木規夫さんの貢献や、ロバート・キーガンの書籍を翻訳した方たちの貢献もあり、インテグラル理論を再度日本社会に紹介する機が熟したように思う。

成人発達理論に対する認知が進んだこのような状況において、インテグラル理論を紹介する土壌が整い、今回満を持してインテグラル理論を紹介することになるのだと思う。仮に今回、インテグラル理論の認知が日本で進まなければ、もう今後それが実現することはないのではかとさえ思ってしまう。

そのような状況下でインテグラル理論を紹介できることは、監訳者冥利に尽きるが、どことなく不安だ。どことなく懸念がある。

先ほど仮眠中に見ていたビジョンは、まさにそうした懸念が具現化されたもののように思えてくる。端的には、インテグラル理論を紹介することによって、人々は間違いなく、「インテグラル(統合的)」であろうとするだろう。

言い換えると、インテグラルな段階へと向かっていくことに邁進し始めるであろうことが目に見えている。成人発達理論に関して見られる昨今の現状とまたしても同じことが起きてしまうのではないかという危惧が絶えない。

本書の中でウィルバーが指摘しているメッセージがきちんと人々に伝わるだろうか。それは、「統合的である前になすべきことがある」ということである。

それについてはここで具体的に取り上げないが、端的には、自己及び社会の基礎構造が今この瞬間に抱えている課題を見極め、それに取り組むことが最優先であって、それなしでは高度な発達段階など生まれ得ないということだ。

盲目的かつ熱狂的に高度な発達段階を希求するような風潮が生まれないことを強く願う。おそらくそれを願うだけではダメであり、人々がそうした衝動をほぼ間違いなく抱くであろうことに言及し、それを制する必要があるだろう。

今回、インテグラル理論を紹介するだけではダメなのだ。それを紹介した上で、その接し方にまで言及した上で、生じるであろう異常な衝動を制しなければならない。目新しいという理由だけで、単に外来思想を紹介することほど無責任なことはない。

私が以前師事していた発達心理学者のオットー・ラスキー博士が、「責任と限界を結びつける思考と在り方」について述べていたことを思い出す。自分の責任、そして限界が色々と明らかになり、それらを結びつける思考と在り方についてなんとなく見えてきているものがある。フローニンゲン:2019/1/4(金)15:02

No.1543: Jocular Rhythm

Now it is 4PM. I’m seeing drizzling at this moment.

After some break, I’ll start evening work. Groningen, 16:08, Saturday, 1/5/2019

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