1615. 異国で暮らすこと
異国の地で生活をしていると、時に不必要なまでに、自分の存在やそれを取り巻く物事や日々の行為について考えるものである。今、こうした事態を「不必要」という言葉で表現したが、それは自分にとっては必要なことなのだと最近よく思う。...
1607. 欧州での日々
夕食後、ソファに腰掛けながらぼんやりとしていた。思考と感覚を手放し、ただその場にいたということが、後々になって気付くような形で少しばかり時間を過ごしていた。 以前は夜の十時まで明るかったフローニンゲンの空も、今ではもう八時前にはすっかりと暗くなっている。遠方で犬の鳴き声が聞...
1480. 辛さを抱え、無音世界からの一歩へ
自分の道。絶対にやって来ない日に向けて歩み続ける道。 この世界の人々が、各人の充実感を見出し、幸福さの中で毎日を送ることができるのであれば、それ以上に素晴らしいことはこの世にないのではないだろうか。だが、それが実現する日はやって来ない。...
1428.【北欧旅行記】ベルゲンで思う冬:越冬のその先に
オスロから列車に揺られること六時間半、ノルウェー西岸の街ベルゲンに無事に到着した。ベルゲン駅はこじんまりとしていながらも、どことなくこの街の歴史を感じさせてくれる。 駅から一歩外に出ると、目の前に緑豊かな公園が広がった。今日から三日間宿泊することになるホテルは、この公園の近...
1309. 生命のぬくもり
早朝の三時半、半覚醒状態の意識の中で、私は何かの気づきを得たようだった。それはダイナミックシステム理論を活用した人間の発達に関するものであり、「階層的統合化(hierarchical integration)」という概念に関するものだった。...
1274. 個
先ほど、わずか数分間だが、通り雨がやってきた。あたかもそれが幻想であったかのように、今は晴れ間が空に広がっており、遠くの方で小鳥が鳴く声がする。 穏やかな太陽光が降り注ぐ夕方の中で、私は少しばかりサンフランシスコ時代のことを回想していた。個別具体的な出来事を思い出していたと...
1076. 春風が薫る頃に思うあの冬
春風が薫るような一日だった。昨日と同様に、今日も春の暖かさと穏やかさを象徴するような日であった。 午前中に修士論文の全体の体裁を整えていく作業を始めた。論文の “Abstract”を執筆し、 “Introduction”から順番に文章を修正していく作業をいよいよ開始させた。...